♪キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン、キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン・・・
チャイムが鳴ると同時に担任の鈴木先生が入ってきた。
パッと見、ド迫力の威圧感があって恐そうな鈴木先生。
しかし、実はすっごくやさしくって生徒からの人気も絶大なのだ。
「お〜い、席 着け〜。」
でもやっぱり見た目恐すぎるから、生徒は迅速な動きで自席に座りにいく。
もちろん俺もそうだったりするんだけどさ。
「え〜、今日は文化祭の出し物について決めることになってる。北山、酒井、後は頼んだぞ。」
「はい。」と正しい返事をした学級委員のふたりが立ち上がり、先生と入れ替わるように教壇に立った。
なんというか、ふたりとも言動がキリッとしててさ、いかにも『The 学級委員s』ってカンジだ。
「え〜っと、では今朝のホームルームは、文化祭の出し物について話し合います。僕たち3年生の出し物は『劇』です。」
北山が説明している後ろで、チョークを持った酒井が黒板に『文化祭の劇について』とキレイな字で見出しを書き、決定しなきゃいけない項目を羅列し始めた。
「まずは劇の出し物・・・クラスでどんな劇をしたいかを決めます。
日本の文学作品、または日本史に出てくるできごと・・・このどちらかをテーマにしないといけません。
これまでによく扱われているテーマは、『新撰組』、『忠臣蔵』、『勧進帳』、『巌流島』、『走れメロス』などです。」
普通の学校なら『シンデレラ』とかが定番なんだろうけど、ここは男子校だし、日本史と日本文学に絞るとこういう風なチョイスになるのだなぁ。
劇かぁ〜。小学校の時にも2回ほどやったことあったけど、もっぱらセット・小道具担当だったな〜。
俺、昔から図画工作とか美術とか得意だからね。
そういえば小3の時『浦島太郎』で俺が作ったカメの甲羅と玉手箱・・・それと小5の時の『アラジンと魔法のランプ』のランプとじゅうたん・・・
どっちもすっごく評判よかったなぁ〜。
特にじゅうたんなんてさ〜、図書館でペルシアじゅうたん調べて超忠実に絵で再現したんだよな〜。細かい作業だったけど、楽しかったな〜。
今度の劇のも気合い入れて作って、みんなをアッと驚かせよ〜っと♪
ってノンキに脳内タイムスリップしてしまっていた時。
「は〜い。」
「村上くん何ですか?」
北山が丁寧に『くん』づけして、村上に発言権を移した。