【2.巧妙トラップ】
「おはよう〜。」
翌朝。
俺はいつもと同じようにアイサツしながら教室に入った。
その途端、騒がしかった教室が一瞬で静まり返った。
「っえ・・・?」
やがてさざ波のように起こったヒソヒソ話が、再び元の騒がしさへと戻っていく。
もしかして、俺、転校早々なんかやっちゃったのかな・・・
誰かの気の障ること言っちゃったとか?
調子乗ってたとか?
・・・いやいや、んなワケない。
目立たないように目立たないように、これまで気配を消してきたじゃないか俺。
『目立たず生きよう、平凡が一番。』をモットーに頑張ってきたじゃないか俺。
気にするな、きっと気のせいだ。
何とかココロの中の俺を励まして平常心を装い、自分の席へと向かった。
そんな俺に、
「おはよう。」
俺の前の席に姿勢よく座っている、学級委員の北山がいつものように挨拶してくれた。
それだけなのに、
「ぉわっ、お、おはよぅっ!」
明らかに動揺した声で返事してしまった。
あ〜、カッコ悪ぅ〜・・・