「黒沢くん。電話変わってあげるから。貸してみ?」
いつの間にか俺の横にオバサンが立っていた。
手を差し出されたので、反射的に携帯を渡してしまった。
「あ、どうも〜。はじめまして〜。ワタクシ、黒沢くんのクラスメイトの村上哲也の母です〜。」
へぇ〜、村上の、ねぇ〜・・・・・・・・・「えぇぇ〜〜っ?!!!」
驚きのあまり、思わず叫んでしまった。
他にお客さんがいなくてよかった・・・。
「ウチ、お好み焼き屋やってましてね〜、黒沢くんにもウチのお好みゼヒ食べてほしいって思ってね〜、来てもらったんですわ〜。」
なんか、うまく説明してくれているらしい。
やけに話が盛り上がっている。村上のオバサン、恐るべしだ。
・・・言われてみればこの強引さ、ヤツと似てるかもしれない・・・。
気づかなかった俺はバカだ・・・。
「は〜い。終わったらね、ウチの子にお宅までキ〜ッチリ送らせてもらいますんで、ご安心ください。
・・・いえいえ!大丈夫ですよ〜、ウチの子は顔イカついですから襲われたりしませんので〜。」
はは・・・すごいな、ホント・・・。
「・・・は〜い。・・・は〜い。ど〜も〜、失礼します〜。・・・はい、黒沢くん。これで、大丈夫よ。」
「はぁ、はい、どうも・・・ありがとう、ございます・・・」
オバサンは「はい。」と携帯を返して、さっさとカウンターの中へと戻っていった。