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地獄の1丁目である体育館のウラ・・・
ではなく、校門を出て、駅前の方へと向かって歩いていく。
何だろう。これ何なんだろう。
もしかして、地獄の2丁目の空き地か河原とかに連れていかれるんだろうか・・・?!
嗚呼、母さん。
この後、万が一俺の身に何かが起こって、二度と家に帰れないことがあっ・・・
「着いた着いた。」
「へ・・・?」
「ここだよ、ここ。」
ふたりが指差したのは、商店街の中にあるお好み焼き屋。
看板には、
『ミドリ』
と書いてある。
「え?え?ここ?」
俺が戸惑いを見せているのに全く気に留めることもなく、北山と酒井は店の引き戸を開けた。
「いらっしゃ〜い。あらっ、北山くんと酒井くんやないの!」
「どうも〜、オバサン、こんにちわ〜。」「こんにちわ〜。」
北山と酒井が店の入口のところで止まっていたため店内が見えない。
店の女の人の「空いてるとこ、どこでも座って〜。」の言葉でふたりが店内に入り、ようやく視界が広がった。
まだ夕飯時には早いからか、客はいない。
コの字型の鉄板のカウンターの内側に、大量のキャベツを切り刻んでいるオバサンがいた。
「あら、そちらさんは?見ぃひん顔やねぇ。」
「あっ、彼がウワサの黒沢です。」
「いや〜ぁ!君が黒沢くんかいな〜!ほらっ、黒沢くん!そんなとこでボ〜ッとせんと入っておいでぇな!はい、遠慮せんと、はよ座りなさい!」
早口でまくし立てるオバサンの迫力に押されて、ふたりが座った大きなテーブルの向かいっ側に腰を下ろした。
それにしても・・・気のキツそうなオバサンだなぁ。顔もキリッとしてるし。