【2.あてもなく】
俺は行く当てもなく、偶然たどり着いた学校近くの公園のブランコに座り、ゆらゆら揺れていた。
「どうしよう・・・マジ困ったな〜・・・」
晩メシどうする?
どこで寝る?
明日の朝メシだってないよ?
・・・ってそんなこと言い出したら、給料もらうまでのメシとか宿とか!
もっと言えば風呂とか服とか!!
どうしようどうしようどうしよう!!
お金がない(正確には“使えない”)って、こんなに心細いことなんだな。
体験して初めてわかることだ。
「・・・とりあえず、学校戻ってみるか・・・」
校門を再び通り学内へと入っていく。
「安尾さん・・・?」
学校内で寝れるとこあるかな。
保健室とかなら寝れるかな。
でも風呂はないな。
あ、でもプールにシャワーが・・・ってダメだ、この季節に真水のシャワーは無理だ・・・しかも露天だ・・・。
「や・す・お・さん!!」
突然後ろからポンと肩を叩かれ、「ひぇぁっ!?」っていう妙な叫び声を上げてしまった。
考えを巡らせながら歩いていたので呼びかけられていたことに気付かなかった。
そのうえ仮名だしね・・・。
「じ、事務室長でしたかっ。す、すいません、ぼ〜っとしてたもので・・・」
「どうされたんです?さっき帰られたと思ったんですが・・・」
「あっ、あのぅっ・・・」
脳内コンピューターが瞬時に「0」と「1」をいっぱい駆使して、導き出した答えは・・・
「財布・・・落としてしまって・・・学校で落としたかな〜って思って戻ってきたんです・・・」
はい、また嘘ついてしまいました〜・・・
ごめんね事務室長・・・悪気はないんだよ?悪気は・・・