「4人ともすごいよね〜・・・。俺、ファンって言うか・・・みんなが歌うのずっと聞いてたんだよ。
うまいなぁ、かっこいいなぁって。だからみんなのこと、絵にしたかったんだよね・・・
でも破れちゃった・・・せっかく文化祭当日に貼り出してみんなを驚かせようと思ってたのに。残念だな・・・」
黒ぽんはキャンバスを持ち、がっくりと肩を落とした。
「あのさ、黒沢・・・」
「ん?何・・・?」
「他の歌も歌える?」
「え?」
「『ロンゲスト・タイム』。歌える?」
「え?えと・・・歌える、と思う・・・みんなみたいには、うまくないけど・・・誰の音程?」
テツは俺の方に顔を向けた。
俺はそれに大きく頷いて応えてみせた。
「安尾さんの・・・パートだ。」
「あ・・・えと、ちょっと待ってね・・・」
すぅっ、と息を吸い込んだ黒ぽんは、「The Longest Time」の俺のパートを歌い始めた。
そこにテツが声を重ね、浜野くんも、平井くんも、それぞれのパートを歌っていく。
ああ、やっぱりこの4人がしっくりくる。
見た目も、歌声も。
ちょうど歌い終わる頃、近づいてきた救急車のサイレンがぴたりと鳴りやんだ。
「黒沢くん。どう?具合は。」
「え、あ、わりと大丈夫です。」
保健室の先生の問いに対する黒ぽんの回答が少しおかしくって、俺たちは笑った。
「え?何?みんな何で笑ってんの??」
「黒沢くん。一応、病院行くからね。」
「はぁ・・・」