「んん・・・」
そんな中、気を失っていた黒ぽんが眉にしわを寄せて唸った。
「黒沢っ!!大丈夫か?!」
「ん・・・何・・・ここは・・・?」
テツの呼びかけに、黒ぽんは目をパチッと開けて返事した。
「保健室だ!セットの下敷きになっただろ!覚えてるか?」
「・・・下敷き?・・・ああ、何か落ちてきたよねぇ・・・いたかったぁ〜・・・」
「そんなっ、ノンキに言ってる場合じゃねぇだろ!」
「あ、絵・・・」
「絵?」
「・・・描いてたんだけど・・・どこやったかなぁ・・・結構いい感じにできてたんだけど・・・」
「あ、そう言えばあったな。」
「持ってくる。」
そう言って、浜野くん・平井くんが保健室から駆け出していった。
しばらくして戻ってきたふたりの手にキャンバスとその他画材が握られている。
「村上・・・これ・・・」
「ん?」
差し出したキャンバスに描かれた絵を見て、目を見開くテツと俺。
「な、んだ・・・これ・・・」
「・・・あ〜ぁ・・・せっかく頑張って描いたのに破れちゃったなぁ〜・・・今から描き直しても文化祭には間に合わないなぁ・・・」
キャンバスに描かれたもの。
それは、歌う俺たち4人の姿・・・。
ベニヤが突き刺さったのだろう、テツたち3人と俺との間の部分がスパッと破れている。
「あそこにいたらさ・・・音楽室で歌う姿も見えるし、歌声もよく聴こえるんだよ〜?」
そう言って、黒ぽんは小さな声で歌い出した。
「♪Lalala・・・」
「・・・黒沢・・・」
「へへ・・・今のはね、村上が歌ってるとこ。・・・でね、次がね、えっと、」
黒ぽんは誰のパートか言いながら、「ALONE」の4人分のパートを完璧に歌い分けた。