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「黒ぽんっ・・・!!」

俺は教室から飛び出し、階段を駆け下り、校舎の裏へと回る。

「大丈夫?!返事して!お願いっ!」
階上から落下したセットをどけると・・・悪い予感は的中。見覚えのある背中が現れた。

「黒ぽん!」

倒れたカラダを起こし、頬を叩くも反応はない。

「黒ぽん!黒ぽんってばぁっ!!」

「どうしたの?ガラスの音とか安尾さんの声がしたから飛んできたんだけど。」

背後から声がして俺は振り返った。

「テツっ・・・!」
「黒沢っ?!どうしたんだよ?!」
「上から壊れたセットが落ちてきて、それでっ・・・」
「保健室!運ぼう!・・・お前らも手伝え!」

テツから少し遅れて到着した浜野くん・平井くんが「もちろん!」と言って、黒ぽんのカラダを支える。

「せ〜のっ・・・よいしょっ・・・!」
掛け声に合わせて黒ぽんを抱え上げた。

「ほら、のけよ!邪魔だ!見せモンじゃねぇんだよ!・・・どけって言ってんだろうがっ!」

テツは野次馬に噛みつかん勢いで吼えて道を開けながら進んでゆく。

「すいません!ドア開けてください!」

保健室の前、テツが叫(おら)ぶと、中から保健室の先生が飛び出してきた。

「ど、どうしたの?!」
「セットの下敷きになっちゃって・・・」
「とりあえずベッドまで運んで寝かせて。救急車呼びますから。」

慌ただしく動き回る保健室の先生。
名前を呼び続けるテツ、浜野くん、平井くんの3人。

俺は・・・茫然自失の状態だった。

俺が黒須くんとぶつかって、テツと黒ぽんが組まないままここまで来た。
つまり、だ。
黒ぽんが音楽室でテツと歌っていたら、この事故には巻き込まれなかったはずだ。

この事故をキッカケに・・・テツと黒ぽんが組まないことが決定的となって・・・俺の声が出なくなったのかもしれない・・・。

俺が黒須くんとぶつかったせいで・・・
俺がうまくふたりを結びつけれなかったせいで・・・

テツと黒ぽんが組まなかったら。ゴスペラーズがなくなってしまったら。

全部、俺のせいだ・・・


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