「失礼しま〜す。」
ノックをしてドアを開けたが、黒ぽんの姿は見えない。
「あの、黒沢くんは・・・」
「『今日はもう帰る』って挨拶だけして帰っちゃいましたよ?」
「あ・・・そうなんだ・・・ごめんね、ありがとう・・・。」
「は〜い。」
・・・やっぱりあのこと引きずってんのかなぁ・・・
やべ・・・ヘンな動悸してきた・・・
それに胃も痛い痛い痛いっ・・・
これ、完璧にストレスから来てるよ・・・
俺も黒ぽんみたいに帰りたい。
もっと言えば、早く元の時代に戻りたい。
でも今の状態のままでは絶対に帰れないんだよな・・・。
「はぁ・・・もうやだぁ〜・・・」
ガックリと肩を落としながら俺は事務室へ戻った。
翌日の昼休み。
俺はいつものように黒ぽんを迎えに教室へ行った。
初めて声をかけた時と同様、黒ぽんは机に突っ伏して寝ている。
「黒沢くん、食堂行こう?」
「・・・いらない・・・」
「え?」
「村上たちと練習あるんでしょ?・・・行ってください。俺、もうカレーいらないんで・・・。」
黒ぽんがカレーいらないとかマジ?!
伏せったまま返事してるし・・・ものすご〜くご機嫌ナナメだ・・・。
「あのさ、黒沢くん、」
「もういいって言ってるだろ?!」
黒ぽんはバンと机を両手で叩いて立ち上がり、教室から飛び出してしまった。