軽く一礼して教室に入り、黒ぽんの机に向かう。
「ぶっ・・・!」
俺がこの時代に来る少し前に卒業アルバムで見て爆笑した、あのコロコロメガネ少年だ!
写真のままの・・・少々イケてない感じに思わず噴いてしまった。
お〜お〜、それにしてもいい顔して寝てんね〜・・・夢の中でカレーでも食べてんのかなぁ〜。
手の中のシャーペンをそっと抜いてみる・・・起きない。
メガネ外してみる・・・起きない。
それにしてもレンズ分厚ぅっ・・・!!レンズの向こうの景色がぼやけて、万華鏡みたいだ。すげぇ〜。
っていうかさぁ・・・学校で、しかも机でこんなに熟睡できるもんなの?
いくら待っても起きそうにないので、しびれを切らした俺は黒ぽんの肩をポンポンと叩いてみた。
「黒、沢く〜ん・・・」
「・・・んんんんんん〜・・・・・・・・・ぐぅ・・・すぅ・・・ぴぃ・・・」
「いやいやいやいやいや!黒沢くぅん?そろそろ起きた方がいいんじゃないかなっ?!」
「・・・ん・・・あ・・・ん・・・??」
起きて目を開けた黒ぽん。
でも目が開いてない。
なんて言うのかな、藤子マンガのメガネ外した顔みたいに、目が「3」になってる・・・。
「ここどこ・・・?」
「いやいや、きょ、教室ですよ?!」
慌ててメガネを返すと、ぽやぽやとしたテンポで“牛乳ビン底メガネ”をかけ、瞬きを2回した。
途端にキリッとした顔になった。
ま、俺の知ってる限り、キリッとしてるのは外見だけだけど。