レオの手伝いも目一杯させられ、今度は何だ?・・・聖書の勉強、だと!?
みんな各自でやるみたいだが、俺は基礎がないから・・・司教のマンツーマンだ・・・
「まず聖書の初めのページを開けてください。」
「あっ、あのよぉ・・・こんなに分厚いのに1ページ目からやんのかよ?!もっと掻い摘んでさぁ、要所要所・・・」
司教に睨まれた・・・
おとなしいタイプのヤツなんだけど、眼力がありすぎで、睨まれるとすげぇ恐ぇんだよな・・・。
「言葉には気をつけなさい。」
「・・・すいません・・・」
くぅ〜、こいつ俺より絶対年下なのに!
眠い目を擦り、あくびを必死に噛み殺し、やっと勉強タイム終了。
くっそ〜、他のヤツら、各自で勉強とか言いながらホントは寝てんじゃねぇの?
その後、晩メシを食って、またお祈りの時間があって・・・9時消灯・・・。
「ね、眠い・・・こんな生活、俺には無理だ・・・」
早速睡眠サイクルが狂った俺は、消灯と同時に意識を失うように眠ってしまった。
「あ、そうだ。」
いつものようにルカに叩き起こされお祈りを済ませた後、食堂に向かう道中にルカが思い出したように口を開いた。
「ん?どうした?」
「今日はね、日曜ミサがあるんだ。聖堂に観光客や地元の信者の方々も来るんだよ。」
「へぇ、ミサね。」
俺にとっちゃ、ミサもお祈りの時間も勉強の時間も、“神様に拘束されている時間”ってことに変わりはないから、そんなことどうでもいいんだけど。
朝食を終えていつもより少し遅めの時間に聖堂に入った。
普段の聖堂でのお祈りは早朝に行われているが、日曜ミサは一般客が通いやすいようにいつもより遅めのスタートになっているらしい。
ミサが始まった。
普段は修道士しかいない聖堂の後方の席には、チラホラと一般客の姿が見える。
少数とはいえ、さすがに一般客がいる前で船を漕ぐワケにはいかない。
必死にモモの辺りをつねりながら、睡魔と闘った。
司教の小難しくてありがた〜いお話が終わると、ひとりの修道士がパイプオルガンに向かい、「それでは讃美歌斉唱を行います。」と言った。
「テトスはまだ聖歌知らないから、ここに座ってていいみたいだよ。」
ルカは小声でそう言って、俺を残し、他のヤツらと一緒にパイプオルガンの前へ並んだ。
お世辞にも“うまい”とは言えないパイプオルガンの前奏があり、修道士たちは歌い始めた。
「な・・・んじゃこりゃ・・・」
俺は思わず、小声で呟いてしまった。
お世辞にも“うまい”とは言えない・・・いや、うまくない。
いや、“うまくない”なんてレベルじゃないな。これはタダの“ヘタクソ”だ。
耳が腐りそうだ。
ヤツらは終始グダグダなまま歌い続け、平然と席へ戻ってきた。