「はいは〜い!朝だよ〜!」
突き抜けるハイトーンが耳をつんざき、俺は思わず飛び起きた。
「うわっ・・・おま、何だよ!?」
ルカが剥ごうとする布団に必死に掴まりながら叫ぶ。
「何、って。朝だよ?早く起きなきゃ。」
「起きなきゃ、って、俺さっき寝たとこだぜ?まだ夜中だろ?真っ暗じゃねぇかよ。」
「夜中じゃないって。もう朝の5時だよ?」
「はぁあ?!」
「はい、起きた起きた。お祈りの時間だよ〜。その後、ごはんもあるし。」
「・・・マジかよ・・・」
ここに来るまで完璧に昼夜逆転の生活を送っていた。
朝の5時って、俺にとっては、仕事終わって後片づけしてサァ帰ろうか、っていうような時間だ。
昨日寝たのだって4時前だったしさ。
体内時計が全く納得しないんだけど、これ・・・。
「じゃ、これね、聖書ね。ここの部分読んで、お祈り。ね?」
「いやいやいやいや・・・お祈りって言われてもさぁ、やったことないからわかんないんだけどさ・・・」
暗に“したくない”というつもりで言ってみたのだが、ルカにはそんな婉曲な表現法では伝わらなかったらしい。
ご丁寧にも俺の部屋でお祈りしてみせて、「こうやるんだよ〜。」などとコト細かに教えてくれた。
それが終わったからまた寝てやろうかと思っていたのに、今度は聖堂に行ってみんなでまたお祈り・・・。
司教の話が長いうえに小難しくて、結局のところ何が言いたいのかよくわからない。
睡魔に襲われ、こっそり船を漕いでいるところを、ユリエルに後ろから突かれ、何度も起こされた。
それが終わってやっと朝食だ。
と言っても、まだ6時半とかそんな時間なんだけど。
慣れない生活に、うまい朝食もなかなかノドを通っていかない。
「あれ?今日のごはんおいしくない?」
「・・・いや、そんなんじゃないんだけどさ・・・」
「しっかり食べてくださいよ?今日はいろいろやってもらいたいことがありますんでね。」
「そうだよ〜。お昼ごはんまで時間空くし、食べといた方がいいよ?」
横から3人にやいやい言われ、イライラしながらなんとか全部食べ切った。