『・・・んん〜っ・・・んん〜っ・・・』
どこからともなく、小さな唸り声らしきものが聞こえてくる。
『んん〜っ・・・っダメだぁ〜っ!・・・お〜い、みんなも手伝ってよぉ〜!』
『んもぅ〜、何やってんですかアナタは・・・』
『だってビクとも動かないんだぞ〜?!』
『・・・ほら、お前も。手伝ってやりなさいよ。』
『・・・はいは〜い。』
『せ〜のっ!』
『んん〜!・・・んん〜!』
掛け声とともに、いつの間にか眠ってしまっていた俺の体が少しずつ動いていく。
なんだこれ?!
俺、ガリバーの小人の国にでも来ちまったか?!
それとも俺の体がちっこくなって、アリにでも運ばれてるのか?!
目を抉じ開けると、石段の上にあった大きな木の扉が内側からゆっくり開いてきていて、俺の体は今にも石段から転げ落ちそうになっている!
「うわっ、お、落ちるっ!!」
慌てて飛び起き、扉の前から逃げた。
「・・・あっぶねぇ〜!死ぬかと思った!」
心臓の辺りを押さえながら扉を睨むと、扉の向こうから3人の男が鼻の上の部分だけを覗かせ、こちらの様子をじっと窺っている。
「・・・何見てんだよ!?」
「人だったね。」
「ふむ、人だった。」
「どうりで開かないワケだよ〜。」
「おい!あぶねぇだろうがよ!石段から落ちたらどうす・・・ん、だよ・・・っ」
叫んでいた最中、急にアタマがクラクラ〜っとして、目の前が真っ暗になった。
ピタ、と額に冷たい感覚があり、目を開ける。
「あ、起きた。おはよ☆・・・お兄さん大丈夫?」
若い男が俺の顔を覗き込んでニコ〜っと笑っている。
「・・・ここ、どこだ?」
「お兄さん、ドアのとこで寝てたでしょ?しかも起きた途端に倒れちゃってさ。3人で運ぶの、ホント大変だったんだから〜!
まだ少し熱あるみたいだから、ゆっくりしてってね。」
「いや、だから・・・答えになってねぇだろうが。ここはどこだと聞いてんだよ。」
「ん?ここ?修道院だよ?わかりやすく言えば、住む教会的な?」
「なんで全部疑問形?」
言われてみればたしかに、この目の前の男は教会にいそうな感じの格好をしている。
足首まで隠れるほどの丈の長い白いダボダボのワンピースみたいなものを着ていて・・・
その上から、黒くて、フードがついてて、袖のなくて、それでいてサイドがつながってないような、ヘンテコなカタチの服を被ってて・・・
さらにその上から腰の辺りを紐でベルトのように締めている。