そしてまた、次の日曜ミサがやってきた。
今回は讃美歌ではなく、俺が皆で歌ってみたいと思ったゴスペルをやることにした。
一応司教にこの曲をやっていいか尋ね、ちゃんと了承を得ている。
そしてもちろん今回も司教に参加してもらうワケだが。
司教のパイプオルガンとともに、その曲は始まる。
「♪There's a man, Standing on the corner・・・」
歌い出しは俺。そして他の4人でリードを歌い継いでゆく。
“この肩にすがって、僕を頼りにして”。
そんな内容の歌詞。
まさに今、俺はみんなの肩に頼って、ここにいる。
ここのみんなに対する感謝の気持ちをを籠めて、俺は歌う。
ただただ夢中で歌い続けた。
スタンディングオベーションが起こり、我に返る。
こんなに気持ちよく歌い切ったのは初めてかもしれない。
聖堂内が歓声と拍手の渦に包まれていた、その時。
客席に潜んでいたそのスジの男が2人、ドスを持ってこっちに走ってきた。
感動に浸っていたため反応が遅れた。
突然の出来事に、俺のカラダは思うように動かない。
もうダメだ・・・・・・!
・・・と思ったが、待ち構えていた痛みはない。
見れば、俺の横にいたレオがドスを持った男の右手を蹴り上げ、ルカが素早く男を床に押さえつけている。
もうひとりの男は、俺の前に立ちはだかった司教に
すんでのところでかわされ、よろけたところをユリエルに背負い投げされていた。
「お、お前ら・・・」
他の修道士たちもふたりの男を押さえつけるのに加勢している。
俺はその乱闘の輪の中から何とか抜け出した。
「ふぅ・・・危なかったぁ・・・」と呟いた瞬間、
「俺のもんに手ぇつけやがって!死ねぇっ!!」
聖堂の通路に立った男が叫び声を上げた直後、銃声とともに左胸に強い衝撃を感じ、俺は吹っ飛ぶようにそのまま後ろへ倒れた。