「ほらぁ〜、やっぱり!彼もこう言ってることだし、ね?許してやって。お願い!」
「・・・わぁったよ・・・陽一の顔に免じて許してやるよ。ただし、」
哲也がムララのアタマに当たるスレスレまでビュンと木刀を降り下ろす。
『ひぃっ・・・!!』
「次にヘタなマネしてみろ・・・命はないと思えよ・・・?あ?」
『は、はひ・・・』
「わ〜っ、よかったね軍曹!兄ちゃん許してくれるってさ!」
拍手して喜ぶ陽一に反し、哲也はムララをなおもイカつい目つきで睨みつける。
それを知ってか知らずか、陽一はなおも言葉を続けた。
「あ、そうだ!イイコト思いついた!ウチの空いてる部屋貸してあげてさ、ここを地球での友好活動の拠点として使ってもらおうよ!」
「はぁ?!」
「地球人と宇宙人との友好の第一歩をこの村上家で!最高だよ〜!」
「バカ言えっ、お前っ・・・」
『あ。あぁ〜、そ、それ、いいっすね!そ、そのうえ部屋を借りれるなんて・・・ほ、ホントありがたいなぁ〜!あ・・・はっ、あは、は・・・』
ムララは作り笑いを浮かべながらしどろもどろ答える。
「ちっ、ったく、しょうがねぇな・・・そのかわり、」
哲也がイライラした様子でムララの頬を木刀の先でピタピタとつついた。
「住まわせてやる代わりに、お前、家事やれ。」
『はぁ?!ざけんな、なんで俺が家事とかしねぇと・・・』
「よし、家事したくなかったらとっとと星へ帰れ。俺がタイガー・ウッズ真っ青のドライバーショットで宇宙まで送り届けてやるからよ。」
哲也が木刀でゴルフの素振りをし始めたのを見て、ムララの顔が青ざめる。
『あわわわっ!する!するって!やればいいんだろ、やれば!!』
「交渉成立だな。じゃあ明日から頼むぞ。・・・おい、陽一。」
「ん?何?」
「部屋まで連れてってやれ。・・・ったく、ヘンなヤツが出てきたせいで大事な一戦見逃しちまったじゃねぇか。」
哲也は、武器(?)である木刀をリビングに放り投げ、「さって、フロでも入るかな〜・・・」とひとり呟きながら浴室へと向かっていった。