「ごちそうさま〜。」
「あれ?今日は早いね。」
早くもカレーを食べ終わった哲也に、まだ1杯目のカレーをノンビリ食べている陽一が声をかける。
「おぅ。最近授業中寝まくってて、ノート書けてないから酒井に借りたんだよ。今からコンビニ行ってコピーしてくるから。」
「ノートぐらい自分で書きなよ・・・。それに比べて、雄二さんはエラいなぁ。」
「あいつさ、授業中早弁してんのにノートもちゃんと書いてんだぜ?どういう構造なんだかな。」
「構造って・・・機械じゃあるまいし。」
哲也は立ち上がり、「ってワケだから、お前はゆっくり食べてろ。」と言って、使用済みの容器をキッチンに運んでいく。
「うん、そうさせてもらうよ。今日はアンビリーバボーの日だから、それ見ながらね。」
陽一がテレビのリモコンを掴んでチャンネルを変えた。
「またアンビリーバボーかよ!しかもまた木曜かよ?!」
陽一の言葉に哲也がすぐさま突っ込んだ。
すいません哲也さん、休日+木曜率が高いのは仕様です・・・。
「・・・んまぁ、今日はサッカー中継ねぇし、許しておいてやるか・・・」
よろしくお願いします、そうしないと話が進みませんのでね。
本日のアンビリーバボーは2時間スペシャル。
「今夜はマヤの大予言を徹底分析!」と仰々しく謳っている。
「イマドキさぁ、予言なんか信じるヤツいんの?そもそもノストラダムスとかでもさぁ、あれだけ大騒ぎして何もなかったじゃねぇか・・・。
そんなんで自暴自棄になって歌手になるとか言い出すヤツの気が知れねぇよ・・・」
「マヤ暦によると2012年の秋か冬で大きな節目になるかもしれないんだよ!?もしかしたら地球滅亡だってあるかもしれないんだよ?!
ノストラダムスの予言は外れたけど、今回こそはわかんないよ?!」
こういう場面になると、声がデカくなる陽一であった。
「・・・行ってくるわ・・・」
あまりのヒートアップっぷりに哲也はドン引きしながらリビングから出ていった。
『ごちそうさま〜。』
そうこうしている間にムララも食事終了。
自分の分と哲也の皿を洗い始める。
「あっ、軍曹。俺まだ食べてるから自分の皿は自分で洗うよ。2人分だけ洗っといて〜。」
『へいへ〜い♪』
テレビでは、先ほど陽一が言ったように、人類滅亡もありうるかも、などと視聴者の恐怖心を煽っている。
陽一はカレーそっちのけで画面に釘づけだ。