第10話
新たな外敵
ある日の夜、村上家。
『はいよ〜、晩メシできたぞ〜。』
ムララが哲也と陽一の部屋のドア前からふたりに呼びかけた。
「お〜ぅ。」
返事しながら部屋から出てきた哲也は、鼻をクンと鳴らしてすぐさま顔をゆがめた。
「・・・ってボケガエル・・・また今日もカレーかよ・・・」
『あれぇ〜?また、って、そんなにやってましたっけね〜?』
ムララはアニメによく出てくるシーンのように口笛を吹いて白々しくごまかしている。
「とぼけてんじゃねぇよ。あの黄色いヤツからまた分けてもらったんだろ?あぁ?」
「まぁまぁ。せっかく用意してくれてるんだから、ね?」
遅れて登場した陽一が哲也をなだめ、背中を後ろから押してリビングへと連れていった。
『あぁい、あぁい。たんとお食べ〜。あぁい、あぁい。』
ムララは志村のババアのマネをして、ふたりの前にカレーライスを盛った皿を運び終わると、今度は自分のカレーを装って席に着いた。
「いただきま〜す。」
陽一が手を合わせて食べて始めた時には、哲也もムララもすでに2〜3口食べた後だった。
いただきますはちゃんと言いましょうね、感謝の気持ちを忘・・・
「ボケガエル、おかわり。」
『自分で入れろよ、俺今食うの忙しいの。』
「・・・なんだ、そのクチの聞き方は?イヤならこの家から出てけ。」
『・・・へいへい、わかったよ・・・』
ま、いっか・・・。