「ぼっちゃん、準備ができました。」
執事がうやうやしく優に頭を下げる。
準備が整ったリビングのド真ん中には、大きな大きなまな板と、マグロが1匹、ド〜ン・・・。
こんな大きなマグロ、いくらなんでも今日1日では食いきれんでしょ・・・まぐろ!2夜連続!(渡哲也風)
「あっ、そう。じゃあ、早速やって。」
「はいよっ!では始めますっ!」
板前が威勢のいいかけ声とともに、マグロを解体していく。
「・・・なぁ、陽一・・・寿司ってこんなんだっけ・・・?」
「さぁ・・・」
回転寿司しか食べたことがない哲也と陽一は、ぽかんとした表情のまま板前の包丁さばきに見入っている。
雄二はというと、板前の傍らに立ち、持参したカメラで解体ショーを撮影。
まな板を挟んで板前の正面に立ったクロロが、「この魚、カレーにも使えます?」などと質問攻めにしている。
そしてそして、ウニウニと口ずさみながら はしゃぐ、優とユタタのそっくりコンビ。
そんな中、突如として村上家の照明が一斉に消え、辺りが闇に包まれた。
「誰だっ?!」
哲也がすぐさま声を上げると、窓の外からサーチライトが差し込み、哲也を照らした。
その眩しさに、哲也は右腕で顔を覆う。
『やはりアナタがボスですか、村上哲也。』
『何っ?!』
『そこにいるワタシどもの仲間を解放してもらおうか。』
というコトバとともに姿を現したのは、ムララたちと同じ、カエルのような不思議な生物。
赤いカラダが特徴的で、哲也に向けてマシンガンを構えている。
『おおっ!やっと来てくれたか、ユジジ伍長!!』
頼りになる味方の登場に、これで服従生活も終わりだとばかりにムララが歓喜の声を上げた。
「はぁ?ボス?解放?お前さっきから何言ってんの?」
哲也はワケがわからないといった様子で首を傾げる。
『まだトボけるのか、村上哲也。
今日1日、しっかり偵察させてもらった。お前は人間の手下どもを使い、我が小隊のメンバーを次々に捕虜にしていってるではないか!』
『ぷっ、捕虜っておま・・・』
思わず噴き出し笑いをした哲也に、ユジジがさらに殺気を強める。
『口で言ってもわからないようだな!覚悟しろ!』
ユジジはそう叫ぶや否や、哲也に向かってマシンガンをぶっ放った。
哲也は驚異的身体能力で咄嗟に飛び退き、難を逃れる。