そして30分後。
雄二とクロロが連れ立って到着。
「やぁ、陽一くん。今日はお招きありがとう。」
『あろは〜☆』
「ようこそいらっしゃいました。どうぞあがってください。」
ほどなくして優とユタタも登場。
・・・板前を連れて。
『ゑ・・・。』
「作ったのが来るんじゃなかったの・・・?」
迎えに出たムララと陽一はあんぐりと口を開けている。
「ううん、違うよ。村上にできたてを食べてもらいたくって☆」
これが俗にいう「テヘペロ」というヤツか、とワケのわからない感動がムララと陽一を包む。
「・・・あっ、立ち話もアレだから、どうぞ?」
陽一が家に上がるよう促すと、優とユタタ、そして板前に続き、執事とその部下たちが次々にやってきて、材料を運び入れ、テキパキとセッティングを始める。
「ななな、なんだコレは・・・?!!」
リビングで「バンキシャ!」を見ていた哲也も思わず飛び上がった。
無理もない。「配達」という規模の言葉では収まらないその様子に、驚くなと言う方が難しい。
どう見ても「配達」というより「搬入」と呼ぶ方が的確である・・・。
「おや、こちらはユタタ二等兵くんのお友達かい?」
搬入の様子を見てにこやかな表情を浮かべる優の存在に気づいた雄二が、前回この家で知り合ったユタタに尋ねた。
『あっ、雄二さんとクロロさんも来てたの〜?こんばんわ〜☆』
「どうも〜、こんばんわ〜。」
『まはろ〜♪』
『あ。えっと、紹介するね、こちら、安岡優さん。陽一さんとはクラスメイトなんだって!今ねぇ、ボク、優さんのとこでお世話になってるんだ〜。』
ユタタが紹介すると、雄二とクロロが
「これはこれは。よろしくお願いします。」
とハモってアイサツする。
「はいどうも、よろしく〜☆」
優にとっては陽一以外には特に興味がないため、非常にアッサリとしたアイサツだ。
しかし、幸いにも持ち前のクドさとパンチ力がありすぎることで、その無関心さは相手に伝わらずに済んでいる。
「あ゛ぁ?誰がクドいだって・・・?」
・・・い、いえ、何も・・・すいません・・・ビクビク・・・
『優くんは誰に言ってるの〜?』
『ん?無意識だと思うから気にしなくていいよ☆』
豹変した優にクロロがキョトンとした顔で首を傾げるも、いつも優を傍で見ているユタタにとってはごく当たり前の光景で、すでに慣れっこになっているようだ。