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『雄二が実体化ペン使ってくれてようやくムララの居場所 見つけてくれたんだよ〜。
・・・って、あれ?ムララ、どうしたんだ?なんか元気ないじゃん。地球の水が合わないのかぁ?』
『お、オメェがヘンな登場の仕方するからだろ!!』

そこへ・・・

『ムララさぁ〜ん!優さんから“おいしいケーキがあるからみんなに持ってって〜”って頼まれて、持ってきたよ〜!』

ユタタの声が響いた。
が、声はすれども姿は見えず、宙にケーキの箱がプカプカと浮いているばかりである。

『ひぇっ?!ま、まさか、ユタタまで透明になれんのか・・・?!』

ムララの問いにユタタがやっと姿を表し、『うん。なれるけど?なんで?』と答える。

『お、お前ら・・・いつのまにそんなワザ・・・』
『“ワザ”っていうか、標準装備じゃん、透明になるのって。』

横から口を挟んだクロロが、自身の頭に被った兵隊帽の前頭部分についているマークをクルッ、クルッと回した。
そのたびにクロロの姿は透明になったり現れたりを交互に繰り返した。

『へ・・・?・・・そんな機能あんの?』
『え?お前知らなかったのかぁ〜?』
『き、聞いてないけど・・・』
『あれ〜?おかしいなぁ、説明してなかったっけ?もしかしてあれかなぁ、お前にだけ言うの忘れてたのかなぁ〜?』
『だ、“だけ”・・・?』

“だけ”という言葉にムララは深く傷ついた。
発言したクロロには、ムララを傷つけた自覚はまったくなかったりする。
まぁそういうもんですよね・・・。

『あ、そうだ!透明装置ついたのって、ムララさんがインフルエンザになって寝込んでた時じゃない?』
『あ〜、なるほどぉ〜!そういうことかぁ〜!ユタタよく覚えてるなぁ〜!』

「何だよ、透明になりゃあ いくらでも外 出れんじゃねぇかよ・・・」

騒動が落ち着いたのを見計らい少し前に家に入ってきていた哲也が、隣に連れていた陽一に耳打ちする。
それがムララの耳にも届いてしまったため、ムララはまたしても大きく傷ついた。
普段の態度とはウラハラに、実はガラスのハートの持ち主なんですね、ムララって。

『♪クロクロクロクロクロクロクロクロ〜』
『♪ユタユタユタユタユタユタユタユタ〜』

久しぶりの再会に楽しそうにハモ・・・いや、共鳴するクロロとユタタ。
一方、ムララだけ明らかにテンションガタ落ちの様子で、ひっくい声で『♪ムラムラムラムラムラムラムラムラ〜』と共鳴した。
共鳴×3!(うち ベース1名)

「・・・まぁ、あれだ。こんなとこで立ち話ってのもアレだから、みんな上がってけよ。な?」

哲也の提案に、いいねいいねと賛同する一同。
哲也を先頭に皆でリビングへと向かっていく。・・・が、ムララはスネて玄関に座り込んだままだ。

「軍曹〜・・・いつまでも落ち込んでないで、牛丼一緒に食べよ?」
なかなかリビングに姿を現さないムララを気遣い、陽一が玄関へと戻ってきた。

いじけているムララは、フローリングの床に滴った自らの涙を用いて、足でネズミを描いている。
しかし、ムララ以外の者から見ると到底ネズミには見えないシロモノだ。

「安岡からもらったケーキもあるし。・・・ね、行こう?」
「・・・おい、ボケガエル。いつまでそんなとこでグズグズやってんだよ。牛丼冷めるだろ。」

陽一と同様に、ムララの様子を窺うため玄関へと戻ってきた哲也が、ムララの首根っこをヒョイと摘み上げた。

『うわっ・・・』
「ほら、行くぞボケガエル。・・・ったく、宇宙人ってのは世話の焼ける連中だな・・・。」

強制的にリビングへと連行されていったムララは、心の中で『地球人ってヘンなヤツばっかりだけど、意外にいいヤツ多いんだな』と感心するのであった。

決して口には出さないけどね!!


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