「え、ちょ・・・酒井・・・?」
「・・・に、兄ちゃん!雄二さんってもしかしてムララのことを捕まえにきた、ナゾの組織のメンバーなんじゃ・・・」
「はぁっ?酒井がぁ〜?!んなバカな!!」
「しかも、俺たちふたりも軍曹をかくまってたことで、そのナゾの組織に連れ去られちゃうんだよ、きっと!
そのうえ、記憶消されたり人体実験受けたり・・・!そうに違いないよ!どうしよう・・・!!」
なんともオカルト好きの陽一らしいブッ飛んだ発想ですな。
哲也はたぶんそういうのは真に受けたりはしな・・・
「・・・俺にぃ〜・・・まかせとけぇぇえ〜っ!!」
えぇぇええぇぇぇ〜〜?!
・・・あ、すいません、ナレーション忘れて叫んじゃいました・・・。
こほん。(咳払)
・・・哲也はネプリーグの原田泰造ばりに叫ぶと、牛丼を陽一に預けて猛ダッシュで雄二の後を追い始める。
先を急ぐ背中にあと数メートルにまで迫ったその瞬間、雄二が手にしていたノートをおもむろに開いた。
そしてペンでスラスラと何やら描いたかと思うと、ノートが羽ばたくような動きを見せ、それを手に持つ雄二もろとも天高く舞い上がった。
「なっ、ななななななな・・・?!」
「♪悪いね、お〜先にっ。」
ビルの高さほどにまで浮き上がった雄二は、またもノートに何かを書き加えた後、空中で寝そべる。
そしてビート板のように両手でノートを持ち、脚をバタつかせた。
雄二の体はグンとスピードを上げ、哲也たちの家に向かってまっすぐ進んでいく。
「ば、バタ足・・・?」
空を仰ぎ呆然と立ち尽くす哲也の傍らに、陽一がようやく到着した。
「兄ちゃんっ・・・空には曲がり角もないし、地上を走って追いかけても追いつかないよ・・・!」
「そうはいっても追いかけないことにはなんにもなんねぇだろ!お前もついてこい!」
哲也は陽一をその場に置き、再び雄二を追って走り出した。
一方の陽一は、
「え〜!また走るの?・・・俺もあとからぼちぼち追いかけるから、先 行ってて〜・・・。」
ヒザに両手を置いて呼吸を整えながら、小さくなっていく哲也の背中を見送った。
・・・この回、少し長くなりそうなので、一旦CMで〜す。