「で、俺に用事って?」
「村上んちに行きたいんだが。」
雄二はそう言って、手にしていたノートをヒラヒラと揺らして見せた。
村上んち、という雄二の言葉に、哲也と陽一は必然的に現在の我が家の様子を想像することとなった。
もやもやもや〜ん。(←ふたりの頭上に想像用の吹き出しが出ています)
リビングに置かれたソファの上、マイクを手に持っているムララが、
『♪I say“to you(ツーユー)”,You say“dark(ダーク)”!to you!dark!to you!dark!』
と、ひとりでコール&レスポンスをしている・・・。
もやもやもや〜ん。(←吹き出し消えました)
・・・・・・
「いやいやいやいやいや!」
「アカンアカンアカンアカンアカン!」
陽一と哲也は全力で拒否した。
しかも哲也にいたっては、あまりうまくない大阪弁になっている。
「なんだなんだ?なんでダメなんだ?」
「だって俺っ、あの〜・・・あっ、ノート!俺、授業中ノート取ってねぇし・・・」
「いや、授業中のノートは必要ない。」
「は・・・?じゃ、じゃあなんで俺んちなんかに・・・」
「ん?何をそんなにあわててるんだ?何か俺に見られてはまずいもんでもあるのか?」
「いや、ない!ないない!ないけども!」
「ないよな?じゃあ行こうか。」
雄二はそう言うと、哲也たちの家に向かってスタスタと歩き始めた。