さて、その15分後。
駅前にある牛丼屋で牛丼を買い終わった哲也と陽一は、家に向かってテクテクと歩いておりました。
「あ〜、メンドクセ・・・アイツの分の牛丼だけ“よ〜くツユ切っといてください”って注文してやればよかったなぁ〜。」
「もう〜、兄ちゃんはすぐそうやって軍曹のことイジめるんだから〜・・・。」
「だってよ?せっかく家事やらせることになったのに、あのビジュアルで買い出しさせれねぇってのがよぉ〜・・・」
ムララの愚痴をグチグチと呟いていた哲也は、前方から知った顔が近づいてきたことに気づいた。
「お〜い!」
哲也の呼ぶ声に反応して片手を挙げたのは、
「よぅ、村上。」
「珍しいな、酒井とこんなとこで会うなんてな。」
哲也のクラスメイト、雄二であった。
「あ、陽一。こいつ、同じクラスの酒井。酒井雄二。」
「はじめましてぇコンバンミ〜☆」
「えっ・・・こ、コンバンミ・・・?今、昼ですよね?」
「酒井の言うことイチイチ気にしなくていいから。・・・んで、こいつが俺の弟の陽一。」
「どうも、はじめまして・・・村上陽一です・・・。」
「ほぉ、弟さんか。お兄サマと違ってとっても聡明そうな・・・」
「てめぇ・・・」
「おや?俺の言うことは気にしないんじゃなかったのか?」
「うるせぇ、めんどくせぇな、お前・・・」
運動神経・反射神経バツグンの哲也も、雄二のトークには太刀打ちできないようだ。
「そんなことよりよぉ、酒井の家ってこの辺なのか?」
「いや、違うけどな。」
「じゃあ、何かの用事?」
「おぅ。村上に、用事。」
「俺??」
「ああ。村上に会いにきた。」
哲也と雄二は当然面識はあり、何度かは話したこともある。
しかし、つるんでいるグループが別なのだ。
いや、実際は雄二がひとりで行動していることが多い、というのが正しいか。
「あの〜、誤解しないでいただきたいんだが、別にクラスからハブられてるって意味じゃないですからね、そこんとこ夜露死苦!」
「・・・兄ちゃん、この人誰としゃべってんの・・・?」
「気にすんな、ナレーションにつっこんでるだけみたいだからよ。」
話はズレ始めているが、何が言いたいのかというと、哲也は雄二が面識こそあれわざわざ出向いてくる理由を見出だせなかった、ってことです、ハイ・・・。