「・・・さっきからひとりで何ブツブツ言ってんのお前。」
「うひゃっ?!・・・テメエ誰だよ?!」
哲也が声をかけると突如口調が急変。
年下と思われる青年にタメグチを聞かれ、体育会系の哲也がカチンとこないワケがない。
「あ?テメエだと?誰にクチ聞いてんだよキサマ・・・」
「テメエって言ったらテメエだよ!この場にテメエしかいねぇだろうがよ!でっけぇ図体のくせに目だけちっせぇ、そこのテメエだよ!」
「て、てっめ・・・!」
この一触即発の場面で、騒ぎを聞きつけた陽一が現れた。
「兄ちゃん、誰が来たの〜?・・・あれ?安岡?」
「あっ、村上くぅ〜ん!おっはよ〜ぅ☆」
優は、哲也とのやりとりなんてなかったかのように100点満点の笑顔で陽一に挨拶する。
「・・・な、何なんだコイツはっ・・・!!!」
「ん?兄ちゃんどうしたの?彼は俺のクラスメイトの安岡だよ?・・・で、安岡、急にどうしたの?安岡がウチに来るなんて珍しいね?」
優のウラの顔なんて知らない陽一は、哲也の驚きにまったく気づくこともなく普通に優に問いかけた。
優は満面の笑みを陽一に向け、答えようとして・・・
「あのね、じちゅはね、昨日ヘンなセイブチュ見ちゅけてね、オカリュト同好キャイのムリャカミに見ちぇもらおうつぉっ・・・」
ご覧のとおり噛みまくった・・・。
「安岡、落ち着いて・・・汗 ものすごいことになってるよ・・・?」
「さっき俺としゃべってた時は流暢だったのに、陽一が出てきた途端に急にカミカミだな・・・」
「そんなこといいかりゃ、早く見つぇ!」
優は、噛むのもお構いなしに手に持っていた袋の口を開け、陽一に向かって中のモノ(者?)を見せた。
陽一と、ついでに哲也もその袋の中をそっと覗き込む。
「これは・・・!」
「げ!ま、マジかよ・・・!」
陽一と哲也は驚きのあまり声を上げた。
袋の中に、気絶してカラダを紐でぐるんぐるん巻かれている謎の生物がいたからだ。
容姿はムララにソックリ。
違いといえば、色が黒であることと、背中の下部辺りからオタマジャクシのシッポのようなモノが生えていること。
よく見ると顔も少し違う様子。ムララほどイカつくはない・・・。