ひとりになりたい時によく行くビルの屋上に到着した雄二は、メガネを外した。
「よし、ここなら俺以外誰もいない。姿を見せてくれ。」
『うん。』
雄二に摘まれていた透明の生物が、本来の黄色い姿を現した。
雄二は、屋上のコンクリートの上にその生物をそっと下ろす。
「・・・で?お前さん、ナニモンだ?」
『ん?俺ぇ?ハモリン星人からきたクロロだよ。ムララ小隊っていうトコロで“曹長”やっててねぇ、地球侵略のために地球へ来たとこ。』
どっからどう見ても地球侵略なんてできそうもないクロロのビジュアルと語り口に、雄二は「ほぉ〜。地球侵略か。そりゃあ見上げた根性だ。」と軽〜い返事をした。
『そ?ありがと〜。・・・あ、そのペン、』
クロロが雄二の制服の胸ポケットに挿していたペンを指差す。
「お?このペン、お前さんのか?」
『うん、それ俺の“実体化ペン”。落としてたのかぁ。気づかなかったなぁ〜。』
「実体化ペン、っていうのかコレ。・・・あ、そうだ。お前さん、カレー好きか?」
『うん、好きだけど?』
「俺も好きだ。・・・よし、待ってろ。」
雄二は胸のペンを取り出し、屋上の地面にサラサラとペンを走らせた。
「じゃ〜ん。はい、カレーの絵。」
雄二が描いたリアルな巨大カレーの絵は、あっという間に実体化していく。
『おお〜っ、すげ〜!うまそ〜!』
「さっき食べ損ねたし、一緒に食うか。」
『ホント?!やった〜ぃ!』
「お、そうだ、スプーンも描かないとな、2本。」
実体化したスプーンを手に持った雄二とクロロは、できたて(?)のカレーを早速口に運んだ。
『あ〜、このカレーうまい〜!』
「おお、我ながら上出来。」
「・・・あ、そうだ。君、名前なんて言うの?』
「俺か?俺は雄二だ。酒井雄二。」
『雄二か〜。雄二の描くカレーうまいから、その実体化ペンあげるよ〜。』
「ホントか?じゃあありがたくいただいておくとしますかね。」
雄二は、実体化ペンも再び胸ポケットに挿した。
『そのかわり、また描いてよ?』
「おう、時々はな。いつも行く店にも顔を出してやらんとダメだから。」
夕焼けに染まる空の下、雄二とクロロは早めの夕食をたっぷり堪能した。
それにしても・・・雄二って人は宇宙人見ても全然驚かなかったな。変わった人ね・・・。
どことらよりヒトコト。
長くなりそうなので、何回かに分けて更新していきます!
実はまだ出てきていないキャラもいますよ。
長い目で見てください、長〜い目で・・・(小松の親分風)