月光奇想曲
2

/戻る/

(とりあえず・・・落ち着こう)

クロードは目を閉じ、今の現実を理解しようと努めた。
仮にもリーダーなんだからこれくらいで取り乱してどうする。
そう、今までこんな『信じられない』と思ったこと何度もあったじゃないか。
そう考えながらクロードはゆっくりと目を開いた。
ほんの少し、さっきのが夢であるようにとわずかな期待を込めて。
だがひらいた瞬間その願いは儚く散った。


目の前には椅子にふんぞり返る青と赤の髪の青年(服はちゃんと着てる)と、
その隣で机に突っ伏しているアシュトンと、
回りには既に達観したような表情の仲間たちが相変わらずいた。


「えーと、ようするに」
クロードは一文字一文字己に言い聞かせるように、
「君がギョロで」
指した指は赤い髪の青年を向き、
「君がウルルンなんだね」続いて青い髪の青年を向いた。
「だからさっきからそういってるだろう?」
「そ、そうだね」
不機嫌そうに言うウルルンにクロードは引き攣った笑みで答えた。
「それで、一体どうしてお二人は人間の姿になりましたの?」
セリーヌがクロードの代わりに質問した。
「それはおそらく昨夜の月のせいだろう」

「月?」
ギョロの言葉に今まで傍観者を決め込んでいたボーマンが口を利いた。
「昨夜は赫月。我ら魔族にとって魔力を増幅させる力を持つ」
「その光のせいで俺らの魔力は高まった。
さらにとり憑いたおかげで今まで使わず内に溜め込んでいた魔力が溢れ出してどうしょうもなくなったんだ。
このまんまいったら溢れた魔力が暴走してとんでもない事になる」
「だからそれと人間化とどういう関係が?」
クロードが口をはさむ。
「つーまーり、内に溜め込んだ魔力を規定の安全値、つまりいつもの量に戻すため人間の格好になったんだ」
「人の・・・と言うか他の生物の姿になるというのはかなり魔力を食うのでな」
「・・・良く分からない点もあるけど大体理解できた。
つまり月のせいで溢れ出した魔力を元通りにするため、人間の姿になったんだね」
「そういうことだ」
すっきりと纏められギョロは満足そうに頷いた。
「ちょっとまってよ!じゃあ離れた状態はいつまで続くの?!」
今まで沈んでいたアシュトンが勢い良く面を上げた。
「大体二、三日で魔力は元に戻るだろう」
「そんなぁ〜・・・やっと離れられたと思ったのに・・・」
アシュトンは又机に沈み込んだ。

「あの〜、その状態でも戦えるの?」
一応その事だけは聞いておかねばなるまい。
ニ、三日もこの町で足止めを食うのだけはごめんだ。
「十分戦える」
「ちょうど体もなまってたしな、必要とあればするけど?」
「よかった〜」
クロードは胸をなでおろした。
「じゃあ早速出発・・・!」
「ちょおっとまちなさい!!」
意気揚揚と立ち上がったクロードはセリーヌに止められ、
きょとんと目を見張った。
「ヘ、なんですか?」
「貴方、レナはどうする気?」
「あっ」


・・・かわいそうな被害者は、今だ宿の一室でうなされていた。

あとがき

擬人化ギョロ&ウルルン第二段です。
なんか、ものすごいご都合主義・・・
でもギョロとウルルンが戦ってる姿一度書いてみたいしな〜
とりあえずこれ、あと何回くらい続くんだろう・・・
書いてる本人にも分からない(だめじゃん)

/戻る/