=両雄邂逅=
ryouyukaikou

/戻る/

+戦闘+

「しかし・・・驚いたな」
山へ向かう道すがら、シグレは言った。
言葉の先は隣を歩くルックに向けられている。
「ルックが同盟軍にいるだなんて、全然知らなかった」
「レックナート様のご命令さ。第一君の方こそどうかしたの」
「何が?」
「トランに戻ってくるだなんて」
「――」
シグレの表情がわずかに変わる。
「ホームシックかい」
「さぁて」
シグレが前を見据える。
前方の茂みががさがさと揺れた。
一同は足を止める。
「その話はまた後で。まずは・・・」
焜を取り出し、構える。
「こいつらを倒してから」
言葉が終わると同時に、茂みの中からサムライ達が飛び出してきた。










敵は六体。
単純計算で一人一体。
だがこっちには女性であるナナミや非力なルックがいる。
多少不利かと思われた。
が、しかし。
(ほぅ・・・)
シグレは相手の刃をかわしながら、感心した。
意外や意外。
現同盟軍の実力は思っていたよりすばらしかった。





カミューの流れるような剣さばきが相手を裂き、マイクロトフの豪胆な剣が敵をなぎ払う。
チームワークは抜群。
伊達に元マチルダ騎士団の一団長ではないと言ったところか。
ハクウ兄弟も負けてはいない。
姉の三節棍は流星のごとき速さで痛恨の一撃を加え、小柄な体を利用した弟の息もつかせぬ連打に敵は成す術もない。
ルックやフッチもこの三年間だてに暮らしてきたわけではないらしい。
槍さばき、紋章の威力。
どれも三年前より格段にあがっている。
















(――――僕はどうだ?)

















この三年間。
さまざまな場所を放浪してきた。
自分なりに見聞を広めてきたつもりだ。
――自分は成長しているのか?
三年経てば赤ん坊すら歩くことができるようになる。
人が変わるには十分な時間だ。
なら。



















(僕は変わったか?)


















――――意味のない焦燥感が自分の中で深く沈んでいった。


あとがき

戦闘中に考え事はご法度です(笑)
今回はほぼ戦闘のみ。
相変わらずルック以外の人との絡み少ない・・・

/戻る/