ENDLESS STORY
第四章
「ちゃん、大丈夫?最後の酒、効いたんじゃない?」
「うん・・・少し。でも平気だよ。」
「そ?じゃ酔い覚ましに少し歩こうか。」
カカシとこうやって、夜道を歩くのは初めての事で・・・。
掴んでる腕がとっても温かくて・・・。
は俯いたまま、黙って頷いた。
「・・・綺麗だよ。」
「え?」
が顔を上げると、其処には美しい月。
「ほんと・・・綺麗・・・。」
「まぁ・・・月も綺麗だけどね。俺が言ってるのは、月じゃないんですけど。」
「何?」
辺りを見回すが、街の明かりは大分消えていて、見慣れた景色があるだけ。
「さっき、後でゆっくりって言ったでしょ。の事だよ。」
その言葉の意味は・・・分かってる。
それに任務以外では、ちゃん付けだったり、呼び捨てだったり。
この場面での呼び捨ては、かなり来る。
だから恥ずかしくて、茶化してしまう。
「あ・・・紅とアンコ、センス良いよね〜。」
「俺の言った意味、理解してるよね。」
「・・・う・・うん。」
「なら、いいケド。」
が不安になってカカシの顔を見ると、
「ん?」
って目を弓なりに曲げて・・・。
「運命の相手って、俺かもしれないよ。」
そんな言葉を口にした。
「俺、の事ずっと見てたんだよね。で、好きになったの。」
そう。が俺を見る前から。
が気に入ってる大木。
その前で泣いていた。
何故かすごく気になって、目が離せなくなった。
次第に、慰めるかのように、集まってくる動物達。
付かず、離れず、適度な距離での事を守るかの様に。
こんなに動物に好かれる子もいるんだな・・・と。
したらすぐ笑顔になって。
その笑顔にやられちゃった訳だけど。
「・・・・何時から?」
「ん〜結構前。ちゃんが青空獣医、始めた辺りかな。」
「・・・青空獣医って・・・。」
はよくあの大木の前で、動物達を治療していた。
「そうでしょ?」
「まあ・・・ね・・・。」
「で、こんなに動物に好かれる子は、きっと気持ちの優しい子なんだろうなって思ってね。」
「がっかりしたでしょ。」
「いーえ。想像通りでした。じゃなきゃこんな告白してないでしょ。」
カカシは照れくさそうに言った。
「それで・・・」
言い掛けてカカシの歩みは止まる。
そしての顔を覗き込んで、
「・・・俺と付き合わない?」
「・・・・えっ」
カカシからの突然の告白。
は今日、自分の気持ちに気づいたばかり。
の脳は一瞬活動を停止した。
そういえばさっき私の事、好きって言った?
「ねぇカカシ・・・好きって私の事だよね・・・」
さっきの言葉に今ごろになって反応する。
「当たり前でしょ。じゃ、お試し期間いる?」
カカシの何とも言えぬ表情。
里一最強と言われているカカシの初めて見る顔。
「いい・・・。お試し期間いらない。私も・・・カカシの事が好きだから。」
「ホント?」
「うん・・・。それにずっと見ていたのは私も同じ。」
「気付いてたけどね。ちゃんの熱〜い視線。」
「もう!そりゃそうだよね。」
はカカシを掴んでいた手を離し、カカシの腕を叩く。
二発目を叩こうとした時、その手はカカシに握られた。
ゆっくり降ろして、手を繋いで。
もう言葉はいらない。
そんな二人は見つめ合い、微笑み合って歩き始めた。
「到〜〜着!!」
其処はもうの部屋の前。
カカシの家との距離は近い。
「そんなに喜ばないでよ。」
少し拗ねた感じのカカシ。
「そういうつもりじゃないんだけど・・・。」
「分かってるよ。苛めてみたくなっただけ。」
「カカシの意地悪。そうだ、コーヒーでも飲んでく?」
はカカシの手を離し、正面になって首を傾げた。
「有難いお誘いなんだけどね。いきなりはまずいでしょ。」
苦笑いをしながら言うカカシを見て、ピーンと来た。
真夜中に男性を部屋に入れるという事の意味。
自身、今は全く考えていなかった。
ただ送って貰ったし、このまま帰すのも悪いかな?とその程度。
あまり深く考えていなかった。
「・・・あは・・は・・・そうだよね。」
「でも、これ位は許してよね。」
カカシは持っている荷物をドアノブに掛け、を自分の胸に引き寄せた。
優しく、慈しむように・・・。
そしての頬を両手で包み込み、触れるだけのキスをする。
一度離れた唇が、またの唇と重なる。
軽く繰り返される甘いキス。
カカシが唇を離して、少しするとは瞳を開いた。
額を合わせ、微笑み合う。
今度はの頭と、背中を抱き深い口付けをした。
今日はにとって大切な日。
上忍昇格と、
カカシから告白された、
最高の一日。