ENDLESS STORY
            第三章



 でもさっきのお酒、なんて言ったっけかなぁ〜?
 あー?思い出せない・・・。
 なんか舌噛みそうな名前だったような・・・。
 まあ・・・いいや・・・結構効くよ・・・あれ・・・。


 土間から襖に手を掛けるが、自分がブーツを履いていた事に気づく。


 おっと・・・さっきとは違うんだっけ。


 ブーツを脱ぎ、すのこに上がって、再度襖に手をかけた。



 襖を開くと、視線が一点に集中する。
 
 「姫のお色直し終〜了!」
 
 と叫ぶアンコ。

 「似合うじゃない!」

 と喜ぶ、紅。
 ライドウは「ヒュー」と口笛を吹き、アオバは見惚れている。
 少々ふら付きぎみの足で、一段登ろうとすると、ガイが手を差し出た。

 「、綺麗だぞ!」

 もう一方の手は、所謂ナイスガイポーズ。

 「ありがとう・・。」

 極めているガイを押し退け、カカシがの手を取った。

 「何をするのだ、カカシ」

 此処にも、少々恋愛に疎い輩が一人。
 他のメンバーは、まあ当然といった風。

 「いいでしょ。」

 カカシはを部屋の中に入れ、手に持っていた荷物を持つと、
 の背中を守るように、ガイの横を通り過ぎた。

 「カカシ。さんきゅ!」
 「どういたしまして。」

 カカシの目は、を捕らえたまま。

 「・・・綺麗だよ。」

 の頭の上で小さく呟くが、外の音に掻き消された。

 「な〜に?」

 首だけ後ろに倒して聞く

 「まっ、後でゆっくり。」
 「そっ?」
 「うん。そっ。」

 カカシは目を細めて笑っている。


 納得いかない態度のガイだが、襖を閉め席に戻った。


 が皆を見ると、先ほどと違う位置に座っている。

 「席替えよ。席替え。は此ー処。」

 アンコがカカシの座っていた、隣の席の座布団を叩いた。

 アンコとライドウが、とアオバの席が替わっている。

 ガイ、ゲンマ、アンコ、、カカシ
 ライドウ、アオバ、紅、アスマ、となっていた。

 大方、アンコか紅がの居ない間にやったのだろう。
 カカシはが座ったのを確認して、自分も腰を降ろす。
 の荷物は自分の左側に置いて。

 「おっ!!馬子にも衣・・装・・・って、痛てーな。」

 紅が呆れた顔で、アスマを叩たく。

 「まったく・・・もう少し、言葉選びなさいよ。」

 そんな二人のやり取りは何時も面白い。
 

 「いいの〜。紅、服ありがとね。」

 と笑顔。

 「すまん。」

 アスマは小声で謝り、今日一体何本目になるのか、煙草に火を点けた。




 「そうだ、、どうして彼氏とか作らないんだ?
  そんなに可愛いのに。良かったら俺の所に来い。」

 ガイが豪快に笑う。


 はぁ・・・この人は・・・。
 俺だって、が中忍の頃から、見ていたんですよ。
 ただ、あいつの目はカカシさんしか、見ていない。
 それに気づいたから・・・。
 

 ゲンマが小さな溜息を付いて

 「飲みましょう。」

 とガイに酒を注いだ。

 「そういう訳じゃないんだけどね。最近忙しかったし・・・」

 は言葉を濁す。

 「こんな良い女、ほっとく奴がいる訳ないでしょー。
  何人か居たよねー。に惚れたオ・ト・コ!」

 アンコは既に酔っている。
 このままでは、今までの男性暦を暴露されてしまうのではないか、と心配になったが、

 「もういいじゃん、私の事は!」

 中断を試みるが、アンコの口を閉ざす事は出来なく。
 
 「だめ〜。この子さぁ〜付き合っても、すぐ別れちゃうんだよね。
  何か違うって言ってさ〜。そんな事が在ってからだよね〜。
  男作らなくなったの。運命の相手でも探してるんじゃん。」
 

 アンコの言う通りだ。
 付き合いだしてから、深まる恋愛もあるだろう。
 そう思って、何人かの人と付き合った。
 でも何時も思う事。


 違う・・・この人じゃない。


 そんな時、カカシと出会った。
 自分の気持ちを動かした、初めての人。
 でも今までの事もあって、自分の気持ちにブレーキを掛けてた。
 気づかない振りをしていたのかもしれない。
 ただ、なんとなく気になる人で。
 だけど、今日分かった。

  
 私、カカシの事好きなんだ・・・。


 「もう!!アンコのバカ!!」

 は真っ赤になりながら、アンコに背を向ける。
 という事は、カカシの方に体を向けるという事。
 カカシと目が合い、さらに体が熱くなるのを感じた。

 「カカシ、変に誤解しないでよ。」


 誤解・・・?
 何が誤解なんだろう・・・。
 自分の言ってる事がよく分からない。


 「あー、違う、違う。何でもない!カカシ忘れて。うー暑い・・・。何か飲むもの・・・。」
 
テーブルの上を見るが、さっきまで自分が飲んでいた物は、すっかり片付けられていた。

 「カカシー頂戴。」

 は矢継ぎ早に捲くし立てながら、カカシの返答も待たず、
 グラスを奪うと一気に飲み干した。

 「辛!!」

 カカシは酒が強い。
 彼の選ぶ酒はアルコール度の高い、辛口。

 「そりゃ、そーでしょーよ。一気に飲むもんじゃないし。
  ちゃん大丈夫?」

 カカシはの顔を覗き込んだ。


 う〜そんなに見ないでよ〜。
 心臓痛い・・・。
 

 お酒の力も手伝って、全身が脈打つ。

 「はい。お水。」

 カカシが冷たい水の入ったグラスを、の頬に軽く押し当てた。

 「気持ち〜い。ありがと。」

 グラスを受け取り、水を体内に流し込む。
 冷たく冷えた水は、の体の熱を奪いながら、消えて行った。






 「じゃ、そろそろこの辺でお開きにしましょうか。任務もあるしね。」

 何時もより、若干早めのお開き。
 紅の言ってる任務とは、明日の仕事ではない。
 酔いながらも、実は正気を保っているアンコが、

 「そうね〜。」

 と席を立った。




 立ち上がろうとする、の足は覚束ない。
 カカシはそんなの手を取り、立ち上がらせると、くの字に曲がった腕を差し出した。

 「掴まって。」
 「いいの?」
 「当然でしょ。」

 の荷物を手に持ち、その手を自分の肩に乗せ笑う。





 外に出ると夜風が気持ちいい。
 火照った体を優しく冷ましてくれる。

 「じゃ、お疲れさん。ガイ〜ゲンマ〜ライドウ〜アオバ〜次行くよ!次!」

 アンコが二次会へと誘う。
 その目は拒否する事を、許してくれ無そうだ。

 「はいはい。付き合いますよ。」

 ゲンマは両手をポケットに入れ、頷いた。

 「私達が言わなくても大丈夫そうね。」

 紅はそっとアンコに耳打ちする。

 「だね〜」

 アンコはシシシシッと満面の笑み。
 の手はカカシの肘を掴んだまま。

 「おう!、改めておめでとう。これからがんばれよ!」

 そう言って、二次会へと進むメンバー達は歩いて行った。

 「今日はありがとね〜」

 はそんな彼らに手を振る。

 「じゃあね。、カカシ。」
 「じゃあな!」
 「うん。ありがとう。」

 紅とアスマも夜の街へと消えて行った。

 「じゃ、俺たちも行きますか。」
 「うんって、あれ?カカシは?」

 「送らせて。」

 身を少し屈めて、の耳元で囁く。

 「・・・よろしく・・・お願いします。」
 「了解!」
 
 とカカシも歩き始めた。
 今回は同じ方向に・・・。
 



  


  




とっても長い一日ですね;
すいませ〜ん。
では次回、
カカシに送ってもらいましょ♪
      かえで