はたけカカシ生誕から三年後。
  木の葉隠れの里に、誕生。
  名家とまで言われるほどの家系では無いものの、
  祖父、両親、共に忍びという、忍者一家に生まれる。




  
ENDLESS STORY
         第一章



   ー 二十数年後 ー


 本日付けでは上忍に任命された。
 五代目火影の部屋を出ると、親友二人が笑顔で出迎える。

 「、おめでとう。」

 親友二人とは、夕日紅とみたらしアンコ。
 より少しお姉さんの二人だけど、もう先輩というよりは無二の親友。
 姉御肌で面倒見の良い紅と、一緒にバカ騒ぎするアンコ。
 の大切な友達。

 「ありがとう。」

 は二人の間に入り、紅とアンコの肩を抱きながら、

 「えへへ・・。」

 と照れくさそうに笑う。

 「さーて、今日はお祝いに飲みに行くわよ!」

 アンコは事ある事に計画を立てる。
 いや・・・何もなくてかもしれないが・・・。

 「他の奴等には、粗方声掛けといたから。いつものメンツだけどね〜」
 
 こういう行動力のある友人がいると助かる。
 同僚とはいえ、毎日同じ会社で、デスクを並べている訳ではない。
 待機所で同じ時間を過ごす事もあるが、人手不足の今すれ違いも多い。
 もしかしたら今日笑っていた友人が、明日はいないかもしれない。
 それが忍びの世界。
 だから皆、参加出来る時は顔を出す。

 「主賓は今日、待機だけなんでしょ?」
 「・・・。」
 「どうしたの?」
 
 二人はの顔を覗き込んだ。


 カカシが居る。
 何処か、近くに・・・。


 どうしてカカシだと、すぐ分かるんだろう。
 忍びだったら相手の気配を感じるのは当たり前だけど、
 この人が大勢行き交うアカデミーの中で、カカシにはすぐ反応してしまう。
 

 対カカシレーダーでも付いてるのかな。


 「・・・あ・・・ごめん。そうそう。待機だけ。」
 「だったら、紅と人生色々に居てね。私もすぐ書類やっつけちゃうから。」
 「うん。分かった。」
 
 三人は廊下を歩き続けるが、の目はカカシを探していた。
 
 なぜか気になる存在。
 彼が近くに居ると、なぜだか見てしまう。
 忍として、トップクラスの、いや里一の腕を持つと言われる上忍。
 だから・・・なのだろうか?
 しかし女の噂は絶えない。
 沈むのも早いが、トラブルにならないのは彼の力量だろう。
 そして彼の周りに居る女の子達を見て、は何時も例えようの無い気持ちになる。
 その気持ちが何であるか、まだ本人には分からない。


 ほ〜ら、居た。
 しばらく顔見てなかったけど、また女の子連れてるんでしょ。
 って・・・一人か・・・。


 カカシは達の方へ歩いてきた。

 「ちゃん。上忍昇格おめでとう。」
 
 ポンポンとの頭を軽く叩きながら、優しく笑いかける。


 うわぁ〜


 そんなカカシの仕草に、思わず視線を外し、下を向いてしまった。
 
 「・・・ありがと・・。」


 カカシの顔がまともに見れないよ。
 いつもなら皮肉の一つでも言ってるのに・・・。


 「カカシ〜今日来るよね。」
 
 見かねたアンコが助け舟を出す。
 
 「勿論。ちゃんのお祝いだしね。ね〜ちゃん。」
 「う・・うん。あ!私、事務所に書類提出するんだった。
  カカシ、アンコ、じゃあ後でね。紅、待機所先行ってて。」

 は足早にこの場を後にする。

 「じゃ、俺もツナデ様の所に。」

 カカシも又歩き始める。

 「まだ自覚してないのかしら?。」
 「どうなんだろね〜。端から見ればカカシの事好きってバレバレなんだけどね。」
 「本人位よ。気づいてないの。」
 
 紅の視線の先には

 アンコはカカシを見ながら呟く。

 今は反対方向へ向かって行く二人。

 「しかも自分の事、カカシが好きだなんて、分かってないよ。」
 「この頃身辺綺麗にしてるしね。カカシ。」
 「そろそろ動くんじゃない?アイツ。今まで、上忍になるって言って、
  任務と修行がんばってたじゃない?だから落ち着くまでって感じだったと思うのよ。
  ・・・今日は一肌脱ぎますか。」
 「そうね。」



 二人の元を離れてから、こんな会話があった事は露ほども知らず、
 事務所に書類を提出すると、その足は一本の大木の前で止まった。
 そして木に寄り掛かりながら、腰を落とす。


 あーびっくりした。
 もしかして私、挙動不審だった?


 あれこれ考えながら空を見上げた。
 

 カカシの事が気になり始めてから、躍起になって、ここまできたな・・・。
 素直に言えば、近くで見ていたい。
 でも、何でそう思うんだろうな?
 まさか・・・ね・・・。
 カカシの周りには、よく女の子が居たじゃない。
 そりゃよく見てれば、カカシが追っかけているんじゃなくて、
 相手から近づいて来てるんだけどさ。
 ただそれを邪険に扱わないだけで。


 はぁ・・・。
 大きな溜息をつく。

 不意にがさごそと動く茂みの方を見ると、一匹の忍犬がやって来た。
 
 「あ、パックン。どうしたの?怪我してるじゃない。」
 「さっきの任務でな。」
 「ちょっとこっち来て。」

 はチャクラを溜め込み、傷口に手をかざす。

 「お主のチャクラは、何時も暖かいの。」
 
 大きく抉れた右前足と、体に在る切り傷。
 小さな体に負担を掛けない様に、ゆっくりと傷を癒す。
 ただ出血を止め、傷口を塞ぐだけではなく、切れた筋肉、血管も繋ぎ合せる。
 
 「はい!完了!痛い所とか、変な所ない?」
 「いや、大丈夫だ。」
 
 体を動かし、全ての傷が癒えた事を確認する。
 
 「、お主、獣医も開業したらどうだ?」
 「そう?」
 「ああ。その辺の獣医より、腕が良い。」
 「ははは・・人間相手じゃ、遅ーいって怒られてるんだけどね。」
 「お主の医療忍術は、動物向きかもしれんな。」
 

 パックン、またちゃんに治してもらってる。
 治療はいらないって言うから、こんな事だと思ったよ。


 少し離れた木の上から、それを見つめているカカシ。
 の対カカシレーダーが作用しないのは、カカシが気配を消しているから。
 流石は木の葉一の技師と言うべきか。
 いつもはが自分を察知する前に、の気配を感じ、アピールしている。

 
 でもあんまり近いと、気配完全に消してもばれちゃうんだよね。


 「私、紅の事待たせてあるから行くね。」
 「ああ。手間掛けさせたな。さんきゅうじゃ。」
 「いえいえ。じゃあね。パックン。」

 は瞬身でその場から消えた。

 「いいな〜パックン。ちゃんに治療してもらって。」
 
 木の枝に両足をチャクラで吸着し、逆さまになったカカシがぶら下がっている。

 「カカシ・・・何時から見ておった?」
 「最初から。」
 「好きなら、好きと言えばよかろう。わしにまで嫉妬するな。」
 「そのつもりだよ。まっちゃんが受け入れてくれるか、まだ分かんないけどね〜」
 
 音を立てず地面に着地したカカシの影は、かなり長くなっている。

 の昇進祝いを兼ねた飲み会はもうすぐ・・・。