ENDLESS STORY
第十章
「あれは・・・夜間用の鳥ね。何かしら?おいで。」
腕を上げると、鳥はバサバサと翼を靡かせ、の腕に止まり、その羽を仕舞う。
カカシが足に巻かれた紙を取り、読み始めた。
は此処まで飛んできた鳥に、労いの言葉を掛けながら、
「何だって?」
っとカカシに問い掛ける。
「ん〜イビキの部下数名がこっちに向かってるから、犯人何人か引き渡してくれって。」
「そう。じゃあ此処に纏めておいた方がいいね。」
「ああ。俺が連れてくる。」
「よろしく。此処から三時の方向、300m位の所に一番若い忍が居るから。」
「了解。」
カカシは瞬身で消えた。
「お前もご苦労様。気をつけておかえり。」
は鳥が飛び立つのを助けるように、上へと放り投げた。
「お待たせ〜。」
「ご苦労様。」
カカシが二人を抱え戻ってくると、里の方角から四つの影が此方に向かって来る。
「あら、意外と早かったね。」
「そうだな。」
が手を振ると、それに気が付いた一人が仲間達に合図を送った。
「お疲れ様です。はたけ上忍、上忍。」
やって来たのはイビキの所の拷問・尋問部隊三名と、医療班一名。
「お疲れ様。アスマ達とは会った?」
「はい。此方に向かう途中の森の中で。」
「女の子は?どうしてた?」
「猿飛上忍が抱えておられましたが、眠っておられる様でした。」
「そう、なら良かった。」
は安堵の表情を浮かべる。
「こいつらですか?」
「ああ。こいつが色々と知ってると思うよ。」
カカシは自分の対戦した相手を指す。
「はい。分かりました。」
尋問部隊が各々犯人達を担ぎ上げる準備をしていると、医療班の男が二人の近くにやって来た。
「お怪我はなさそうですね。」
「うん。大丈夫。チャクラの浪費させられたけどね。」
はクスリと笑って見せた。
「流石お二人です。」
医療班の男も吊られて笑う。
「準備出来た?」
「あっはい。」
「じゃ、行こうか。」
一緒に行こうとするに、一人が声を掛けた。
「大丈夫なんですか?少し休まれてから、来て下さっても結構ですよ。お疲れでしょうから。」
「そーなの。連日の激務でチャクラ蓄える暇も無い位忙しくてね。だからスッカラカン。
少し休んでから、里に帰らせてもらうよ。」
カカシはの背後に立ち、両腕をの首に巻きつけながら四人を見据える。
「え・・・でも・・・」
「大丈夫でしょ?」
カカシの云わんとしている事、
『君達は先に行ってよね。』
これを察知している以外の四名は、大丈夫です!と口を揃えた。
「麻酔薬等も持参していますので、平気ですよ。」
「そうなの?だったらいいけど。その男、糸で繭作る変な忍術使うから気をつけてね。」
「了解!!里に帰ったら報告はして下さいね。でないと折角の休暇も無くなりますよ。」
「休暇?」
「はい。今日、明日と高ランクの任務が少ないんです。だから今任務に出ている上忍には、
休暇を与えようかと綱手様が仰っていました。」
「そうなんだ〜。休暇か、嬉しいな。」
「では。」
「気をつけてね。」
森を駆ける四人を二人は見送った。
「、さっき綺麗な場所見つけたんだ。其処で一休みしよう。」
「うん。」
カカシはを抱え飛び上がる。
「ちょっと・・・自分で行けるよ。」
「い〜の。ほらしっかり捕まって。手は此ー処。」
首に手を回せと言った風に自分の首を動かすと、は照れくさそうにそっと腕を回した。
「うわ〜綺麗・・・。」
「でしょ。が気に入ると思ってね。」
「こんな場所があったんだね。」
夜風に乗って、桜が舞う様はとても美しかった。
高台にある一本の大きな桜の木の下に降り、自分の足の間にを座らせる。
そして後ろからを抱き締めた。
「何やってんの?」
「えっとね。桜の花びら掴むと、願い事が叶うって聞いたから。」
ハラハラと舞う花びらは不規則に方向を変え、落ちて行く。
「取れた!!」
掌に握られた花びらを、愛おしそうに見ながら笑うを見て、カカシも笑顔になる。
「何お願いしたの?」
「内緒。」
「教えてよ。」
「え〜あのね。ずっとカカシとこうして居られます様にって。」
「違う願い事にしたら?」
「どうして?」
カカシの思ってもみない言葉に、少し不安になり問い掛ける。
「どうしてって・・・。」
その願いは必ず叶うから・・・。
「願わなくても、大丈夫でしょ、それは。俺が保障する。」
「そっか、そうだね。じゃあ・・・里の安全とか?」
もう一枚取った方がいいかな〜?と桜と格闘している。
「・・・。」
「なあに?」
名を囁くカカシの目を見ようとが振り返った時、カカシの顔が視界から消えた。
同時に感じる唇が触れ合う感触。
はカカシからの口付けを受け入れ、その瞳を閉じた。
唇が離れた後、何を話す訳でも無く、カカシはの首に両腕を回し、
はカカシのその腕を掴んでいる。
の髪に何度も口付けを落としていたカカシの唇が、全てを愛したいと移動し始める。
耳に、頬に、そして首筋に。
「・・・くすぐったいよ・・・カカシ。」
は首を窄めながら微笑む。
「ねえ・・・ほら、見て。夜が明ける。」
まだ太陽こそ顔を出していないが、空は段々と白み始めた。
水色とピンクの二層になった空に、白い月が薄っすらと浮かぶ。
「朝焼けって綺麗だよね。ご来光って程高くないけど、まあいいか、拝んどこ。」
僅かに顔を出し始めた太陽に向かって、は手を合わせた。
ゆっくりと、ゆっくりと、登る太陽。
今まで黒い世界だった森が緑に変わる。
「私ね、朝って好きなの。気持ちいいよね。同じ空気でも美味しく感じられるし、
元気が出るじゃない?眠たい朝もあるけどね。」
う〜んっと腕を自分の膝の方へ伸ばし、伸びをした。
「らしいよ。」
苦悩する日々を夜に例えるなら、希望は朝。
にぴったりだとカカシは思う。
「ふう・・・。でも今日は少し眠いかも。チャクラ相当使ったし。」
「少し寝たら?俺起きてるから。」
「でもさ、報告が終わるまで任務でしょ。途中で寝る訳には・・・」
「長期任務でも寝ないの?は?」
「それと、これとは違うって。」
「いーから、いーから。」
カカシはを自分の腕に凭れさせる。
「カカシは眠くないの?」
「俺は平気。」
が俺の腕の中に居るのに、寝たら勿体無いでしょ。
それにには、休んでもらっとかないとね。
うーそんな事言っても、心臓がドキドキして寝れないよ。
でも・・・眠いなあ・・・
カカシの腕の中ってすごく気持ち良い。
「此処、すごく安心するね。カカシの腕の中。」
「それはどーも光栄です。」
ふわっとは欠伸をすると、その瞳は閉じて微風が眠りへと誘う。
・・・。
休暇何したい?
「俺の部屋で食事・・・なんて言ったら露骨過ぎるかね・・・。」
カカシはポツリと呟き、の髪をかき上げ、頬に唇を落とす。
そして微風がの体を冷やさぬ様、そっと包み込んだ。
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