ENDLESS STORY
           第八章



 「みんな、準備はいい?」

 が問い掛けると、三人は頷いた。

 「じゃあ行くよ!!」

 クナイを握り締め、手薄な場所から飛び出すと、

 「侵入者が居たぞ!!」
 
 少し離れた場所に居た忍が叫んだ。

 
 空中で確認出来た敵の数は四人。
 とカカシは背を向け合い、左右の敵と交戦する。
 その二人の間に少女を抱えたアスマと、パックン、紅が飛ぶ。
 とカカシの投げたクナイを、かわしながら近づく忍達。
 先ほどの敵の声を聞きつけた他の忍もやって来た。

 「人質が一緒じゃないか!見張りは何やってるんだ。」

 は屋敷の塀に降り立ち、仲間を先に行かせると、すばやく印を結び、

 「火遁・鳳仙花の術」

 炎の華が乱れ飛び、敵を焼き付ける。
 宙を飛びながら、森の木の上に居るカカシを見ると印を結んでいた。
 


 あれは・・・
 水遁・大瀑布の印。


 の鳳仙花の術を逃れた数名の敵が、屋敷から飛び出して来る。

 「カカシ!よろしく!!」

 が木の上に飛び居り、カカシの後方へ進むと、敵を十分引きつけ

 「水遁・大瀑布の術」

 カカシは術を発動した。
 巨大な高波は、其処にある全ての物を飲み込み、押し流して行く。

 「さすがカカシ、ありがとう。」
 「い〜え。」

 二人は先に森の奥を進んでいる仲間の元へ急ぐ。
 少女を気遣って進んでいるのか、そのスピードは緩く、
 とカカシはすぐにアスマ達に追いついた。

 「彩愛ちゃん、大丈夫?」

 少女に話し掛けると、青ざめた顔でコクリと首を縦に動かす。

 「本当に平気?さっきからずっと震えてるのよ。」

 紅も心配そうに覗き込む。

 
 やっぱり、彩愛ちゃんにはきついよね。


 恐らく木登りすら、した事の無い少女にとっては、
 忍の木々を駆け抜けるスピードと位置は、恐怖の方が勝る。
 それを必死に堪えているに違いない。

 「ねえ、カカシ、いい?」
 「ああ。」
 「アスマちょっと待って。」

 は少女の頭を撫で、優しく話し掛けた。

 「このお兄ちゃんのお目目、綺麗なんだよ。見てごらん。」

 カカシが少女の顔を覗き込み、

 「良く頑張ったな。」

 と微笑みかけると、少女は、「本当だ・・・」と呟きながら、アスマの腕の中で眠りに付いた。

 「のんびりしてる暇はないぞ。追手が来ておる。」

 パックンが後方を前足で指す。

 「急ぎましょう。」

 紅が三人を促すと、四人と一匹は全速力で森を駆け抜ける。

 「パックン、追手は何人?」
 「三人じゃ。」


 三人か・・・。
 全員上忍クラスだったら、きついな・・・。
 でもやるしかない。


 「皆先に行って。私残る。」

 は足止め役を申し出た。

 「一人で三人は危険よ。私も・・・」

 紅が言い掛けた時、 

 「俺が残る。」

 カカシがの隣に移動した。

 「カカシ・・・。」

 は真横に並ぶカカシを見つめながら名を呟く。
 今が里の中で最も信頼し、愛している忍。

 「カカシが残るなら少しは安心ね。」
 「紅・・・少しってのはひどいんじゃないの?パックンは紅、アスマと行ってくれ。」
 「分かった。カカシ、、気をつけろよ。」
 「二人共気をつけてね。」
 「やられるなよ。」

 二人と一匹はそれぞれの言葉で、足止め役をかって出た二人に檄を飛ばす。

 「うん。ありがとう。彩愛ちゃんの事よろしくね。」
 「了解!!」


 彩愛ちゃん、元気でね。
 私達が守るから。


 とカカシがその足を止めると、アスマ達の姿は見る見る内に小さくなり、
 森の奥へと消えて行った。
 

 「カカシが一緒なら心強いよ。正直三人はきついかなって思ってたんだけど・・・
  ありがとう。」


 当然でしょ。
 一人を残して行くなんて俺に出るわけがない。
 それに、俺が守ってやるって言いたい所なんだけど、そんな言葉、は望んでないだろうしね。
 この場合は・・・
 

 「じゃ、まっひと暴れしますか。」
 「うん、そうだね。カカシよろしく!!」
 「こちらこそ、隊長。」
 「もう。」

 二人は微笑み合うが、途端にキリとした表情になる。

 「そろそろ来るね。」
 「ああ。行くぞ!!」

 左右に別れ、木に身を隠し、敵の追手を待ち構えた。

 

  



 BGM 暴走(電脳シリーズ)