Te decet hymnus,
Deus,in Sion;et tibi reddetur votum in Jerusalem:

エクソシストが嬉々として (なんとまあ力をふるうことに慣れた人間たちだったろう!) イノセンスを用いて AKUMA を壊していくたびに、アレンはアクマの魂が、千年伯爵の呪縛の鎖から解き放たれ、禍々しい姿を脱ぎ捨てて、天に還ってゆくのを何度も見た。
だからアレンがエクソシストを―――聖なる神の使徒だと讃えるかといえば、そうしたことはただの一度すらない。

それは確かに魂の 救済 であったにもかかわらず、エクソシスト達が口にするのは、
アクマを 破壊 するだとか、敵を 倒す だとか、そういうものであったので。
そしてまた、アレンが人間を憎んでいて、神の使徒を自称する彼らを 愚か だと見下している所為でもあったし、
アレンを支配している者の神が、エクソシストが崇めるものとは異なる所為でもあった。


だがしかし、エクソシスト達がたとえどう在ろうとも―――愛しい者の皮を被ったアクマの機械の身体が―――イノセンスによって砕かれて逝くときの、魂の解放の瞬間は…見る度に美しさを感じさせたし、本来ならば戦力であるはずのそれを壊されれば怒りや焦りくらい覚えなければならないのに、逆に溜飲の下がる思いさえしたものだった。

 

 

 

 

(神よ、シオンではあなたの讃歌がふさわしく唱えられ、エルサレムではあなたに犠牲が捧げられる。)