「っぁ……やぁっ」

初めはゆっくりだった動きが少しずつ激しくなっていく。
上半身を起き上がらせて片手で僕のモノを扱いている司に、
目を瞑ったまま心も体も全てが翻弄されるままだった。


僕が司を好きなとこ。
それはそれは数え切れないぐらいある。
優しいとこ、カッコいいとこ、すごく大人なとこ、柔道をやって
いた為に少し潰れた耳と親指の第一関節が潰れた手、ハスキーで
低い声、大きくて温かい腕の中、そしていつも僕を見守ってくれる、
雄弁な透明の瞳……
まだまだあげ出したらキリがないほど、僕は司の全てに夢中だった。

決して僕達は恋人として付き合い始めて長いわけでもなく、
かと言って友達として付き合った期間も長くない。
というより、そもそも友達の期間があったのかな?っていうぐらい。
あの屋上で過ごした不思議な時間がなんだったのか、
友達だったのか恋人だったのか、それはいまだにわからない。
ただ確かな事は。
あの屋上で過ごした不思議な時間がなければ、今の僕達が
いなかった事……


「ツ…カ……サっ……っ!」

目蓋の裏に、不思議な時間を過ごしながら何度も屋上から
見上げた空が浮かぶ。
その空に向かって僕は両手を伸ばした。
するとその手を掴んで首にまわさせ、『忍っ』と僕の名前を
呼びながら司が激しく口付けて来る。

「んっ、も……だめぇ…っ!」

ずっとずっとこのまま離して欲しくないと願いながら、ギュッと
司にしがみついた。
そして司が最奥まで来るのと同時に僕のモノを扱き上げ、その途端
ビクビクと震えが走って自分がイってしまった事を知る。
それと一緒に力強く抱き締め返され、自分の中に熱い感触を感じた。


抱き締めてくれていた腕を緩めて少し体を離し、荒い息を抑えながら
『……大丈夫か?』と聞いてくれる司に『ん』と頷きながら照れ笑いを
返し、透明な瞳を見上げると、そこには僕を好きだと思ってくれている
気持ちが溢れていた。
それを見ているうちに、またしても胸が震えて涙が零れてしまう。
司は小さく笑いながらまた優しく抱き締めてくれて、『うっ…うっ…』と
嗚咽を漏らしながら泣く僕にそっとキスをしてくれた。


何だか僕は司と知り合ってから泣いてばっかりだ。
司がいなくて切なくて泣いた時もある。
だけど今はその司と結ばれた事に感動して泣いている。
恋をするのってまるでジェットコースターに乗っているみたい。
ちょっとした事で気分が上がったり下がったり、ちっとも休まる
暇がないから。
でも、初めて恋をした相手が司で本当に良かった。
そして司も僕を好きになってくれて本当に良かった。
こんなに素晴らしい奇跡に心から感謝しなきゃ。
だけど僕と司の関係はまだまだ始まったばかり。
いつもいつも守られてるだけじゃなく、これからは僕だって司を
守ってあげたい。
そして男同士だろうが男子校という特殊な環境から離れようが、
僕達の関係は変わらないんだって自分自身に証明していきたい。
一瞬を大切に積み重ね、これから先も沢山の時間を司と過ごして
行こう。


ヒックヒックとしゃくり上げながら司の首にもう一度ギュッと
抱き付いた。
司も大きくて温かい腕で力強く抱き締め返してくれる。

「ずっと……ずっと、一緒に……いようね?」

「心配しなくても俺はいつでも忍と一緒にいるから。」

「これ…からも……よろしく…ね?」

司がクスッと笑い、『こちらこそ』と言う。
そして僕はポロポロと涙を零しながら司の耳にそっとキスをした。

「世界で一番……大好き…司……」


− 完 −



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