双子達と別れて家に戻ろうと歩き始め、司(ツカサ)のマンションの
前まで来た時、突然司が『今日はこれで帰る』と言いながら
立ち止まった。
明日は二人共休みだし、当然僕の家に泊まっていくだろうと
思っていたので『え?なんで?』と驚きながら見上げると、
とても困った顔をして僕を見下ろしながら溜息を吐く。

「……あれだけ一日中忍(シノブ)に煽られれば、
 さすがに途中で止めてやれないから……」

……一日中って、一体いつ僕が司を煽ったんだろう?
でも『途中で止めてやれない』っていう今の台詞で顔が急激に
熱くなった。
僕達はいまだに最後までした事がない。
司が僕を大事にしてくれて、傷つけないようにって思って
くれているのはすごく良くわかる。
でも司が毎回僕の為に我慢をしてくれている事はわかっているし、
僕だって男だから好きな人と早く結ばれたい。
それに練習の成果があったからなのか、司を受け入れられる
妙な自信があった。

……そういえば前にもこんな事があったっけ。
あの時は司の言う通りにしたんだけど、でもやっぱり今日は……

いつもみたいにただドキドキするだけじゃない、司と結ばれたいと
いう突き動かされるような思いに包まれて、くいくいとスカジャンの
裾を引っ張り、真剣な目で真っ直ぐ透明な瞳を見上げる。
突如吹いた冷たい風にヒュッと自分の決意を持っていかれそうに
なるけれど、それでもスカジャンを掴んでいる手に力を込め、腰を
屈めながら僕の口元に耳を寄せてきた司にそっと囁く。

「……司…今日は…最後までして?」


****************


「……んっ……くぅ……っ……!」

司のベッドに横たわりながら大きく足を広げられ、自分のモノを司に
咥えられながら後に指を呑み込んでいく。
でもここは僕のうちよりも壁が薄い。
だから自分の掌を齧りながら、必死で声を抑えていた。


『……途中でヤメロと言われても、もう無理だからな?』

あの後いつもより更にハスキーで低い声の司に囁かれ、真っ赤に
なったままコクンと頷いた。
そして手を引かれながらそのまま司の家に来た。
それからはいつもより少し性急で、いつもより少しだけ荒っぽい
司に僕の心臓はドキドキしっぱなし。
だけどそれだけ司が僕を求めてくれているってわかるから、それが
すごく嬉しくて更に僕を興奮させていた。


仲の良い会社の先輩がからかい半分で司にローションをくれた
らしく、今日はそれを使っている。
だからいつもより水音が沢山聞こえてすごく恥ずかしいんだけど、
その分スムーズに司の指を受け入れられるのも事実。
だからきっと大丈夫。
今日はちゃんと司と一つになれる……

司が指を抜いて覆い被さってくる。
その大きな背中にしがみつきながら何度も何度もキスを交わしている
うちに、後に宛がわれた司のモノが少しずつ僕の中に入り込んできた。
思わず緊張して体が硬くなってしまうと、動きを止め、『忍、大丈夫
だから……』と安心させるように言って優しく抱き締めてくれる。
きっと我慢している司はすごく辛いんだろうに、決して無理強いしない
その温かい腕の中に安心して力を抜くと、また少しずつ司が入って来た。
そしてどれ位経ったのかはわかんないけど、ようやく僕達は一つに
なった。

指とは全然違う圧迫感と熱さ。
確実に僕の中に司がいる。
色んな事があったけど、やっとやっと本当に司と結ばれた……

何だかすごく感動して『ふぇ……』と小さく声が漏れ、涙が零れた。
司は一度僕の目を覗き込んで、痛くて泣いているわけじゃないと
わかると、安心したように零れた涙を舐め取ってくれる。

「……俺達が心も体も繋がってるの、わかるだろう?」

司が小さく笑いながら言ったので、それに必死でうんうん
頷きながらその言葉にまたまた深く感動し、大きな背中に
ギュッとしがみついておいおい泣いた。

司はそんな僕を優しく抱き締めてくれながらキスをしたり、涙を
拭ったりしてくれる。
そしてようやく泣き止んで鼻をすすり上げていると、苦笑しながら
『……そろそろ動いてもいいか?』と聞いてきた。
その言葉に赤くなって下唇を噛みながら、僕は小さく頷いた。