「ヒビキは強くて優しくて努力家で、俺と全然違う。
 俺はすごく弱くて、周りを傷付けてばかりで、臆病者で。
 同じ双子なのに、俺の方が兄貴なのに、いつもヒビキに甘えて
 ばかりで、このままじゃいつかヒビキが俺から離れて
 いくんじゃないかって怖くて怖くて仕方がなかったんだ。
 だから少しでも自分の力で解決出来る事は自分で
 何とかしたかった。
 だから話せなかったんだ。
 でも、それも全部裏目に出ちゃったけど……」

俺は一歩ずつゆっくりヒビキの前まで近付いた。
身長が同じだから、当然俺の目の前にはヒビキの顔がある。
雰囲気は違うけど、俺と全く同じ顔。
自分は決してナルシストではないのに、
このヒビキの顔も表情も全てが好きでたまらないと思う。
俺は両手でその頬を挟み、許してくれる?ともう一度聞いた。

「……あのオンナが、カナデが太陽みたいで憧れる、と言った意味が
 俺にはよく理解できたんだ。
 だからこそ汚い手を使ってでも何もかも手に入れようと
 思った気持ちも。
 だけど、あのオンナを見ていると、自分自身の汚さを
 見せ付けられているようでどんどんカナデに触れられなくなった。
 こんなに汚い俺が触れたら、カナデが俺から離れて
 いくんじゃないかと不安になったから。
 カナデに嫌われるのが怖かった。
 ……でも、結局俺達はお互いに同じ事を悩んでいたんだな。」

そういうヒビキに、双子だからね、と言って微笑んでみせた。

「俺の子供っぽくて汚い独占欲を許してくれるか?」

「……ヒビキが俺を許してくれるなら。」

俺がそう答えると

「そう言えば、ずっとキスもしていなかったな。」

と俺の腰を引き寄せる。
そして俺達は久しぶりで仲直りのキスをした。


試合は無事終了し、ヒビキは1年生としては初めての快挙である
個人戦準優勝、団体組手は3位という好成績を収めた。
でも、俺のせいでヒビキが怪我をしていなければ優勝も出来たのに。

帰り道に俺がそう言うと

「上があった方が張り合いがあるさ。」

とヒビキは笑った。

俺達の後ろでは、この成績なら俺が勝ちだとサトルが言い、
団体で3位だっただけで僕は相手に勝ったんだから僕の勝ちだと
シノブが言って、何やら争っている。
そう言えばこの二人って購買のパンを賭けてたんだっけ。


俺とヒビキはそれを聞きながら顔を見合わせて笑い、
俺達はいい友人を持って幸せだと心から思った。


− 完 −