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折原遼 視点

寝室のベットの上、私達は獣の様に絡み合う。
元々リョウのセックスは激しい方だけど、
今みたいに何もかも貪欲に奪い取られていくようなのは初めてだ。
最初は、やきもちをやかせちゃったかな?とのん気に考えて
いたけど、それにしては……

……でもね、リョウ。
私は気が付いているのですよ?
いつも強くて私よりずっと大人な貴方が、実は子供が母親に
無償の愛を求めるように、私に縋りついているって事に……

くちゅくちゅと厭らしい音を立てながら舌を絡み合わせる。
リョウは私の舌を引き摺り出し、噛み付き、吸い上げる。
私もそれに応えるようにリョウの顔を引き寄せ、角度を変えては
リョウを求めた。


****************


リョウが、続きは退院してから、と言った通り、入院中私達は
キスしかしなかった。
それも私が勤務外の時だけ。
いくらオンナになると了承したとはいえ、
リョウの主治医でもある私は公私混同はしたくなかった。
それにはリョウもあっさり納得してくれた。
その代わり人目を忍んで時々するキスは、それだけで腰が抜けそうに
なる位激しく情熱的だった。
聴診器をあてる時など、リョウは一切身動きもしないし言葉も
発さないというのに、その鋭い目でジッと見詰められるだけで
私の手は震える。
そしてその目の奥に潜む闇に、私はどんどん夢中になっていった。


退院後、すぐに引越しの準備をしろ、と言われて
病院の近くに借りていたアパートに帰ったものの、
普段ほとんど病院で過ごし、寝るのも自分の仮眠室だったので
そこはあくまでも荷物置き場だった。
元々ダンボールから服を出して着ていたようなものなので
準備と言ってもたいした事はない。
わざわざ手伝いに来てくれたリョウの舎弟君達に
いくつかのダンボールを運んでもらって、私の引越しは終わった。


病院からそう遠くない場所にあったリョウの家はマンションの最上階に
あり、カウンターキッチンに30畳ほどのリビング、その隣に10畳の
和室があって、それ以外にリョウの書斎、寝室、私の為に準備して
くれた私用の書斎と、吃驚する位広かった。

思わず、ヤクザってやっぱり儲かるんですね、と言ったら
苦笑しながら、医者もだろ、と返された。
所詮雇われ医者の私はそんなに儲からないんですけどね。


私が引っ越した日はリョウも時間を空けてくれて、夜は二人で
晩酌をした。
意外な事にリョウは料理がとても上手く、その日はリョウお手製の
鳥鍋だった。
それをつつきながらこれからの生活について話をした。

掃除は毎日通いで家政婦の人が来てくれるので問題はない。
料理はその時々で作れる人が作る。
帰る時間や予定が変更になったりする時は必ず連絡を入れる。

私達が決めたのはそれ位。
家族以外の誰かと暮らすのは初めてだったので、
何だか子供のようにワクワクした。


その夜リョウと初めて結ばれた私は、お互いの体の相性の良さに
驚いた。
それまで何回かその場限りの関係を楽しんだ事もあったし
短い期間だけど付き合った人もいる。
でもやはり受け手の私がキツイ思いをする事が多く
実際に挿入されるという行為があまり好きではなかった。

だからリョウとの行為でもそれを出来るだけ避けたいと思っていた
のに、実際その場になると、リョウの熱い手と唇、そして時々私を
見詰める欲望に濡れた鋭い瞳に私の心も体もどんどん高められ、
最後には自分の方から強請っていた。


すれ違いの多い私達はそんなに一緒にいる事は出来ないけれど
それでもたまにのんびり過ごしては体を重ねた。
そしてリョウは体を重ねる度に、俺を見ろ、俺の名前を呼べ、と
執拗に言う。
その目の奥に、俺を裏切るなという強い願いが込められているのを
感じた。
俺を裏切るな、俺を捨てるな、と……


****************


「……んっ!」

リョウのモノが私の中に入り込んでくる。
その熱く滾るモノが私の中をいっぱいに満たし、全てがリョウに
奪われていく。
その事がまた私を興奮させ、奥へ奥へとリョウを導いた。
リョウは私の反応を一つ一つその熱い目でじっと見ている。
その視線に、心も体も全てを俺に明け渡せ、と言われているようで
私は思わずブルッと身震いした。

……リョウ、とっくに私は貴方のものですよ。
裏切ったりなんか、捨てたりなんかしないから、
だからそんな痛々しい目をしないで……

リョウの顔を引き寄せて、私の全部をそこから受け渡すように
キスをする。
リョウはそんな私に、フッと目だけで笑うと、同じ様にキスを
返してきた。
そして私達はお互いの体を貪りあい、全てを曝け出しあいながら
情事に耽った……

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