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The Star Festival

『Let me hear your voice』の佐倉智紀と矢追森の場合
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「あ、忘れてた。」

突然ノモトさんが言い、その言葉でヒトシは何かに気付いたらしく
お土産のワインを入れていた袋をガサガサとあさりだす。
そしてヒトシが取り出した、プラスチックで出来た小さな笹と数枚の短冊を見て
ノモトさんは満足そうに笑いヒトシの頬を一度だけ撫でる。

「さっきワインを買った店でもらったんだよ。
 今度の木曜は七夕だろ?だからおまけだって。
 せっかくだからみんなで願い事を書こうと思ってたんだ。」

そう言いながら一枚ずつ短冊を配る。
僕はとても驚いていた。
トモノリと一緒に過ごすようになって、クリスマスとか誕生日とかの
イベントはやった事があったけど、さすがに七夕はやった事がない。
いきなり願い事、と言われても、何を書いたらいいんだかわからない。
う〜ん、と悩みだす僕がふとヒトシを見ると、ヒトシも同じように悩んでいた。
するとトモノリが苦笑しながら言う。

「ノモトは木曜日定時であがれるだろ?俺も定時であがれるから、
 その後ヒトシ君を連れてまたここに着たらどうだ?
 それだったらその時までに願い事を考えて来れるだろ?」

「それもそうだな。じゃあそうするか。
 ヒトシもシン君もそれでいいか?」

僕とヒトシは微笑みながら同時に頷いた。
またヒトシにも会えるし、みんなでイベント事って、なんだかワクワクする。
今日は日曜日だからあと4日か。
それまでにしっかり願い事考えようっと。


その後しばらく色んな雑談をしてから、ノモトさんとヒトシは帰っていった。
また木曜に、と手を振りながら。
あの路地裏ではいつの間にか人が勝手に集まってくるという感じで
ヒトシとでさえも約束なんかした事はない。
だから、友達と次に会う約束をするという経験も、僕は生まれて初めてだった。
そういう嬉しさも、こうやってトモノリといる事で沢山沢山教えてもらえている。


****************


玄関の扉を閉めて、僕とトモノリは一緒に皿洗いをする。
ヒトシ達も後片付けを手伝ってくれたのだけど
皿洗いは二人でするからと遠慮したんだ。
まぁそうは言っても食器洗い機があるので、汚れのひどい物を
さっと流すだけなんだけど。

取り合えずここで預かる事にした小さな笹を食卓の上に飾り
短冊をその横に置いてから居間の電気を消してトモノリと一緒にお風呂に入る。
ざっとお互い自分の頭と体を洗った後、トモノリに後ろから
抱きしめられながら湯船に浸かった。
風呂が大きいのが気に入ってこのマンションを買った、とトモノリが
言うだけあって、176cmのトモノリが足を伸ばせる位ここの湯船は大きい。

トモノリの大きな胸に背中を預け、少し温めのお湯にゆっくり入る。
目を閉じてトモノリの左肩に頭を乗せると、僕のこめかみや髪の生え際に
キスをしながら、右手を僕の胸に、左手を僕のお腹に伸ばしてくる。
これから自分に与えられるだろう快感を想像するだけで
僕のモノがピクッと反応した。

「……シン、俺はまだ何もしてないぞ?」

トモノリがクスッと笑って耳にキスをしながら言う。
何だかすごく恥ずかしくなって足を縮めようとすると
それをトモノリの両足が抑え付ける。

「シンの全部、俺に見せろ……」

その言葉に赤くなりながら、目を閉じて想像の世界に入ってしまうよりも
目を開けた方が反応し辛いだろうか、と思って目を開く。
僕の白いお腹にトモノリの浅黒い左腕が回されて、同じく浅黒い右手が
僕の右胸を微かに掠める程度に撫で回した。
直接的な強い感覚を与えられている訳ではないのに、微妙なその感触と
視界に入るその光景に、やっぱり僕のモノは上を向き始めてしまう。
目の端にはトモノリが僕の反応をジッと見詰めている様子が映っていた。

……トモノリに見られている……

そう思うだけで急激に僕の心臓が早鐘を打ち始め
ますます僕のモノに血が集まっていく。

体を売っていた時、客によっては僕を縛って様子を見る奴もいたし
そこまでしなくたってジロジロ眺めまわされるなんてしょっちゅうある事だった。
そんなのをなんとも思った事はないし、逆に僕が早く反応して見せればその分だけ
相手も興奮して早く終わるのだから、わざわざ色んな想像をめぐらせて
早く自分のモノが反応するように努力した事だってある。

だけど、見られる相手が好きな人というだけで、見られる相手が
トモノリだというだけでこんなにも恥ずかしく、こんなにも興奮してしまう……

やっぱり目を閉じたほうがいいだろうか、と再度目を閉じたものの
逆にトモノリの手の感触を自然に追ってしまい、余計ドキドキしてきてしまった。
どうしよう、と思って目をギュッと瞑りながらトモノリの首に顔を埋めると
トモノリの息も少し荒くなっている。

それに僕の腰にはトモノリの硬くなったモノがあたっていた。

……トモノリが僕を見て反応してくれている……

感じているのが僕だけじゃない事がわかって、なんだかすごく嬉しい。
だから湯船の縁を掴んでいた両手を離し、僕の足を抑えている
トモノリの両足を撫でた。
するとトモノリは僕の脇腹を撫でていた手を伸ばして、優しく僕のモノを握り
柔々と上下に扱き始めた。

「ん…っ……は、あぁ……」

口からは自然と喘ぎ声が漏れ、快感に忠実な僕の体はトモノリの手の動きに合わせて
勝手に腰が揺れ出す。
どんどん興奮が高まってくると同時にトモノリの足を撫でているだけでは物足りなくなり、
両手で後ろにあるトモノリの腰を掴むと、トモノリのモノに自分の尻を擦り付けた。

「……んんん……ん…」

するとトモノリは僕のモノから手を離して優しくキスをした後
立って壁に手をつけ、と言う。
言われた通りお湯から立ち上がったものの、トモノリは座ったまま。
戸惑っていると、後ろで立ち膝になったトモノリが、僕の足を開いて立たせた後
背中を押して壁に手をつけさせる。

……一番恥ずかしい部分をトモノリの目の前に晒す事になるんですけど……

あまりの恥ずかしさに壁から手を離して上半身を起こそうとすると
足の間から左手をさし入れて僕のモノを扱き
右手で内腿を揉みながら蕾に舌を這わせてきた。

「あっ……!あぁ……ぁっ……」

壁に手をついたまま背中を仰け反らせ、急激に与えられる強い刺激に
僕のモノからは透明な液がポタポタと零れ出す。
舌を中まで捻じ込まれ、その後に長い指を2本3本と挿し入れられると、
もう恥ずかしいなどと思っている余裕も無く、早くトモノリのモノを
入れて欲しくて堪らなくなる。

「…ト……モノリ……おねが…い……」

振り返りながら涙目でお願いすると、ザバッと音を立ててトモノリがお湯から
立ち上がり、後ろから僕の体を抱え込む。
そして熱く猛ったトモノリのモノにボディシャンプーを塗りつけてから
ぐぐぐっと僕の中に入り込んできた。
出来るだけ体に力を入れないように、ゆっくり息を吐きながらそれを迎え入れる。
僕の中がトモノリでいっぱいに満たされた時、耳元でトモノリが囁く。

「……俺に見られて…感じたか……?」

その言葉に赤くなりながら下唇を噛むが、やんわり動き出すトモノリを
思わず締め付けてしまう。
トモノリはそれにフッと笑うと、僕の腰を掴み、急に激しく動き出した。

「ふぁ……っ…くっ…」

不安定な体を支えようと壁に爪を立てようとしても、ツルツル滑る
風呂場の壁はちっとも役に立たない。
がくがくと揺す振られながら、いつも僕を支えてくれる
トモノリの存在を求めて右手を彷徨わせた。
するとトモノリが左手で僕の腰を抱えて、右手を僕の手に重ねながら一緒に壁につく。

「シン……俺はここだ……」

その言葉に必死で頷き返す。
何も言わなくても、いつも僕が何を求め、どうしたいのかを
ちゃんと理解してくれるトモノリ。
こうやって時には激しく、時には優しく僕を求めて愛してくれて
そして僕の全てを受け入れてくれる。
トモノリが一緒にいてくれさえするのなら、これ以上望む物など何もない。
だから七夕の短冊には、トモノリと出会えた事への感謝を書こう。
そしてただ一つだけ、来年もまた同じ感謝が出来る自分であるように、と願おう。

「……あ…あっ…トモノ…リっ……トモノリっっ……!」

直接触れられていた訳でもないのに、僕の先端からはドクドクと
白い欲望の証が溢れ出た。
トモノリも僕が急激に締め付けるのに合わせて、僕の中に熱い液を迸らせる。
そして何故だか涙が溢れる僕を後ろからしっかりと抱き締めて
『シン、愛してる』と囁いた……


****************


木曜日、約束通りヒトシとノモトさんが遊びに来た。
そしてピザの宅配を頼んだ後みんなで短冊を書く事にする。
みんなは何をお願いするんだろう、と何だかドキドキしながら自分の短冊を書いた。

ノモトさんが『せーの、で4人一斉に出そうよ』と言ったので
僕達は笑いながらそれに従う事にした。

「「「「せーのっ!」」」」

でっ!と一斉にテーブルに置く。
そしてお互いにお互いの短冊を見ながら、4人同時に噴出した。

『現在の幸福に感謝しつつ、来年も同じ幸福に感謝できる事を願って  野本弘和』
『今ある全てにありがとうを、そして来年も同じありがとうを  芳澤仁志』
『現在に感謝し来年も同様に感謝を  佐倉智紀』
『今日と来年の今日、トモノリと出会えた幸せに同じありがとうを
 言える自分でありますように  矢追森』

言葉はそれぞれ違うけど、でもみんな思っている事は同じだった。
涙が出るほど笑いながら、また来年、同じメンバーで同じように
笑って過ごしたいと心から思った。
ふと隣に座っているトモノリを見る。
するとそれに気付いたトモノリが笑いながら僕を抱き寄せ、おでこにキスをしてくれた。
それを見たノモトさんが、『俺達だって負けないぞー!』と
ヒトシの肩を抱いて頬にキスをする。
僕とヒトシは照れ隠しにエヘヘと笑いあった。

確かに今まではいい事ばかりの人生じゃなく、辛い事苦しい事の方が
多かったのかもしれない。
それでもその一つ一つを乗りきって来たからこそ
こうやって笑い合える今がある。
これからもそれを忘れずに生きていこう。
ずっとずっとトモノリの傍で……

− 完 −



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