足4
「柚月さん、しっかりと文章を読みました?
『一目で虜になりました』
だそうですよ?」
「絵の話です…よねっ……ちょっと!宗さんっ!」
私の胸に腕を突っ張り、慌てて逃げようとする柚月さんにはお構い無しに、肩を掴んでいる手に痛くない程度に力を加えて動きを封じながらパジャマの前ボタンを手早く外す。
「『力強いフォルムから溢れ出る木下さん自身を、
この手で触れて感じて理解したい』
……手で、ねぇ?
それで柚月さんはどんな風に返事をしたのですか?」
「い、いつかお会いする、機会があればっ…絵を持って
行くので、実際に手で作品に触れて、わかって下さる
とっ…嬉しいですってっ…………ぁ…っ!」
「では明日絵を持って行くつもりだったのですね?」
パジャマとTシャツを少し強引に脱がしていると、頬を赤く染めてジタバタと暴れながらも必死で私の問いかけに頷いている。
その様子と相手との解釈の違いとに笑みを零しながら、脱がせたパジャマの袖で両手首を一まとめに結んだ。
さすがの私もこんな真似をしたのは初めてなので、驚いた柚月さんは一瞬動きを止め、縛られた自分の手首と私に交互に視線を走らせている。
私はそれに 『SMの趣味はないですからご心配なく』 と微笑み返し、今度は優しくソファの背にもたれさせて両腕をそっと上に持ち上げた。
「あぁっ……や……!」
「……確かに柚月さんを理解したいのでしょう。
ですが柚月さんが思っている理解と徳田さんが思っている
理解とは、大分種類が違うようですよ?」
薄い柔肌に包まれた腕の内側を時々強めに吸い上げながらゆっくりと舐め上げ、もう片方の手で、パジャマのズボンの上から焦らすように内股を撫でていく。
私の手を止めようと必死で足をキツク閉じるけれど、もちろん私がそれを許す筈はなく、自分の片足を間に割り込ませてもう一度足を開かせた。
思わせ振りな動きで内股を撫で上げ、足の間で僅かに反応を示し始めた中心に、形をなぞるようにゆっくりと指を這わせる。
「……や…ャぁ…」
それに合わせてビクビクと体を震わせながら声を漏らした。
相変わらず感度が良く、素直に反応を返してくれるその姿が可愛くて愛おしくて堪らない。
「柚月さんが明日行きたいと言うのなら反対するつもりなど
毛頭ありませんし、徳田さんが一体どんな方なのか、私も
お会いするのがとても楽しみですよ。」
「……シュ…宗さん……も……?」
柚月さんが相手の思いに全く気付いていない事ぐらい充分承知しているので、我ながら随分と意地が悪いとは思う。
けれど元々人が苦手だと言うだけあって、普段ほとんど他人と接する事がない柚月さんにはどこか浮世離れしたところがある。
いくつになっても純真であれる理由もそこにあるのだろうし、だからこそ柚月さんの生み出していく世界に沢山の人々が心を惹かれるのだろう。
けれど人というものを知らない分、子供のような純粋さゆえ警戒心が薄く、その危うさに見ているこちらの方がハラハラとしてしまう。
創作の妨げにならないよう全ての危険から守ってあげるつもりではいるけれど、それでも時々はそれを自覚させる事も必要だと思っていた。
……当然そこには嫉妬も独占欲も自分の楽しみも含まれ、どちらかと言えばそっちがメインだと言っても過言ではないのだけど……
「もちろん私もご一緒しますよ?
先程柚月さんが
『柚月さんと過ごす週末を楽しみにしていた私を一人
ぼっちで放り出しておいてその間どこの馬の骨かも
わからない男とホテルの部屋で仲良く写真を見ながら
一緒に食事をして一緒にベッドで眠る』
と言ったように聞こえたのは私の聞き間違いですよね?
大事な大事な私の柚月さんに万一の事があっては大変
ですから、今後のためにも是非徳田さんとお会いして、
私が直接お話をさせていただきますよ。
ですから柚月さんは、安心して今からの時間をたっぷりと
楽しんでください。」
「い…今から……って……?」
少し怯えたように私を見ている柚月さんに、ニッコリと微笑み返しながら両手首の結び目を更にキツク結び直した。
「……他の方とこんなに熱烈なラブレターの交換を
しておいて、まさかこのまま済むとは思っていない
でしょう……?」
※次は18禁※苦手な方はご注意を
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