耳8
『……やっぱ俺やめる……』
『取り合えずいるかどうかノック位してみろよ……』
この準備室に近付いてくる足音と共にそんな会話が微かに聞こえ、雅史は慌てて振り向きながら俺を見た。
俺は一旦動きを止め、右肘を机について左腕で雅史の腰を抱き寄せながら息を潜めて戸の向こうを見詰める。
『淀川先生』 が人気のある理由は、何も雅史本人目当てだけじゃない。
元々生徒からすれば歳が近く気さくで話しやすいし、教え方も結構わかりやすいから分からない箇所を聞きに来る奴らも多い。
その上にあの学祭で 『淀川先生』 に恋人がいるとわかって、恋愛相談がしやすいという噂が広まった為にこの準備室に遊びに来る人数は日に日に増え続け、その一々に雅史が頭を抱えながら必死で生徒達の相談にのって来ている。
コンコン……ガチャ……
ドアノブを回そうとしている音に、俺と同様扉の方を見た雅史がゴクリと唾を飲む。
『淀川先生、いないんですか?』
ドンドン……ガチャガチャ……
『いないみたいだな。もう少しここで待つか。』
『……もういいよ…所詮無理なんだから……』
『ここまで来て何言ってるんだよ。
淀川は恋人がいるとは言っていたが、実際は
告白してみなきゃわからないだろ?』
……コイツらの目的は雅史本人か?
またかよ……全く今日はなんて日だ……
微かに溜息を吐きながら肘をついていた右手で雅史の顔をこちらに向けさせると、そのまま少し強引にキスをする。
「……っ…」
雅史は驚いた様に一瞬抵抗を見せるが、舌を絡め取りながらゆっくりと腰を動かし始めると、俺のモノを締め付けながらすぐにキスを返してくる。
俺がまたつまらない独占欲に駆られているのをわかって、それを受け止めようとしてくれているのが心の底から嬉しかった。
どこの誰だか知らないが、誰が告白しようがしまいが雅史は俺のなんだよ……!
右手を雅史のモノに伸ばし、先走りを垂らしているそれを扱きながら抜き挿しを少し早めた。
「……っ…ぁっ…!」
喘ぎが漏れそうになる雅史の口を唇で塞ぎ、音を立てないよう気をつけながらじわじわと雅史の弱い部分を攻めていく。
『もうすぐ昼休み終わるし……』
『……仕方ないな……また次にするか……』
そんな会話の後、靴音がゆっくりと歩み去っていった。
雅史は次の授業が無かったよな、と思いながら唇を離し、雅史のシャツとTシャツを脇の下まで捲り上げる。
右手で雅史のモノを扱いたまま耳に舌を這わせ、両手を机について身震いしながら背中を弓なりにさせるその体を深く強く突き上げていく。
もうマジで限界だった。
「あっ、あ……!」
雅史も声を抑える余裕が無くなったらしい。
机の脇にあったティッシュボックスから何枚かを引き抜くと、それで雅史のモノを包みながら敏感な部分を敢えて強く擦るように突き上げた。
「マ…サシ…っ」
「あぁッ……サトル…っサト……ルっ!」
俺の名前を呼ぶ、切羽詰った雅史の声が脳天に響く。
それと同時にビクビクと強烈に俺のモノを締め付けながら雅史は果てていき、その締め付けと声にヤバイ位の快感が競り上がって来た俺は、2,3度腰を強く打ち付けてから急いで雅史の中から自分のモノを抜くと、そのまま雅史の背中に白濁液を吐き出した。
5時間目開始の鐘を、どこか遠くに聞きながら……
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