さらに十回近く冬を過ごし、彼は神さまのもとに召されました。
ぼくは教会の庭で咲く花になっていました。頭上から仲間の声がします。
「外をごらん。彼の想い人が来ているよ」
開けたままにしてある門の向こうに、ひとりの人がいました。
喪服ではない、暗い色の洋服を着た男性です。
彼より少し若いその人は、遺族の目につかないように去りました。
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