幾度も幾度も季節がかわり、ぼくは花屋の花になっていました。
店の前でひとりの紳士が立ちどまります。
髪は白くなって顔にしわはあるけれど、黒いひとみは昔のままです。

ああ、また逢えた!

鉢を持つ彼の指に、婚姻の指輪はありません。
花に見向きもしなかった彼が、どうして鉢植えを買うのかな。
ぼくは彼の助手席に乗り、彼の庭を飾る一員になりました。

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