黒暑―こくしょ―
2011/06/29 Wed
m25
穏やかに冷やされた身体は素直に休息を欲しがり、そのままユウキの意識を浚っていった。
「――――ただの子どもなら…そもそも部屋になんぞ上げるか」
グスタフはユウキの髪を梳きながら、そう口にした。
暑さでフラついている後ろ姿だけで、他人を部屋へと招くほどお人よしではないし、寝不足だからというだけで膝を提供するほど暇ではない。
眠りに落ちてしまったユウキに、この言葉と行動の真意は決して届くことはないだろう。けれど、それで良い。
起きているときに言ってしまえば、きっと今の均衡は崩れる。それが良しにしろ悪しきにしろ、少なくとも今のままではいられない。
まだまだ心も身体も幼い子どもなのだ。大人であるグスタフが好きにしていい相手ではない。
面倒なことをしているという自覚はあるが、その面倒に付き合う覚悟は出来ている。
「いい加減、自分が特別なのだと気づけ」
幸せそうに寝入ってしまったユウキに、グスタフは苦笑しながら毒づいた。
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