ブラックラインの攻防
2011/03/24 Thu
m25
確かに、現役軍人のジェネラルと引退した暗殺者であるオズワルドでは基礎体力が違いすぎる。
閨の中でも、先に意識を飛ばすのはオズワルドの方で、ジェネラルには物足りないのではなかろうかと人知れず悩んだこともあった。
そんなかつての懸念を見透かしたように、ヨハンは攻め手を緩めず着実にオズワルドの戦意を殺いでいく。
「どうせジェネラルに悦がらせられるだけだろうに。咥え込むのは下の口だけか?」
「ヨハン…それ以上言うと怒るぞ」
今まで口を挟めなかったジェネラルは、ヨハンの暴言を鋭く諌めた。
昔の弱みがあるためそう強くは出れないが、オズワルドに対しての侮辱を聞き逃すことはできない。
殺意すら孕むような怒気を受けながら、ヨハンはうっそりと瞳を細めた。
やはりジェネラルの怒気は心地良いと心中で零しながら、それでももっと怒らせてみたくて、唇を弓なりに反らせた。
「ふふ、そら旦那が出てきたぞ」
ヨハンのからかいに、オズワルドの中で今までギリギリと負荷を掛けられながら引き絞られた精神の糸が切れた。
初めてと言っても差し支えないほど制御できない感情に翻弄されているオズワルドには、それが一般的に『堪忍袋の緒』と言われているものだと知る由もない。
けれど、そんな風に自己を律していた線が切れたのだと思わなければ、到底説明のつかないことをしようとしているという自覚はあった。
オズワルドはおもむろに腕から力を抜くと、そのままソファから離れて、冷たいフローリングへと膝を着いた。
不意に解かれた腕と、離れていく体温に、咄嗟にジェネラルの腰が浮きかける。
けれど、立ち上がる前にオズワルドの手がジェネラルの行動を制した。
「―――閣下。座っていてください」
「……オズ?」
ジェネラルの訝しがるような声音が耳に痛い。
自分がしようとしていることがどれだけ恥知らずかは理解している。
現時点で気を失ってしまいそうな羞恥を感じているのだ。
思考の一部はこれ以上は止めておけと喧しく警鐘を鳴らしているのが今でも聞こえる。
オズワルドは意図して羞恥から目を逸らすと、意を決したようにジェネラルのベルトへ手を伸ばした。
驚愕を孕むジェネラルの目と、愉快そうなヨハンの目がオズワルドへと注がれる。
[7] << [9] >>
-
-
<< バレンタイン・キッス
MAID IN LOVE >>
[0] [top]