バレンタイン・キッス
2011/03/01 Tue
m25
!注意
オズワルド×アーデルハイドでバレンタインデー話。
メタネタ、歳の差、捏造が許せない方、紳士をお求めの方は回れ右。
アデルの性格はかなりルガール運送寄りです。
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はぁ、と思い詰めたような溜息が殆ど明かりの落ちたオフィスに零れる。
壁に掛かった丸い時計の針は二本とも頂点に差し掛かっていた。
もうすぐ、今日と言う日が終わり、明日がやってくる。
既に最後の社員もタイムカードを押して久しいルガール運送株式会社に残るのは、二代目社長であるアーデルハイドだけだった。
本日の業務も終わり、あとは戸締りと点検をしてから、セキュリティを掛ければアーデルハイドも帰宅するのみだ。
しかし、先ほどから重い溜息ばかりを吐き出して、とあるデスクの前から一歩も動こうとしなかった。
きちんと整理されたデスクの上には卓上のカレンダーと、使い込まれていそうな万年筆の立てられた陶器のペン立て。それにミニチュアのボトルシップが飾られている。
小さければ小さいだけ作るのが難しいんですよ。と自慢げに微笑む顔を思い出して、アーデルハイドは首を勢いよく左右に振る。
頬に差した熱を払う行動だったが、思わず手に力が篭り、大切に携えていた小さな箱がカサリと音を立てて存在を主張した。
視線を落とすと、光沢のあるダークブラウンが薄明りを鈍く弾き返している。
地味すぎるほど落ち着いた赤いリボンを掛けられたそれを見て、アーデルハイドは今宵最大の溜息を吐き出したのだった。
アーデルハイドは恋をしていた。
父親には似ず、大変真面目で努力家であり、若くしてルガール運送の二代目社長として身を粉にして頑張るアーデルハイドは社内外を問わず人気が高い。
ルガール運送の中ではバイスやマチュアといったお姉さま方に可愛がられ、さゆりんこと倉田佐祐理からは割と真面目にアプローチを受けている。
外に出ても整った顔立ちに、血に裏付けされた高い実力、それを鼻に掛けない好青年ぶりが評判を呼び、男女から人気が高い。
タッグを組むとなれば必ずお誘いが掛かり、チームを組むとなればリーダーに抜擢されることも少なくない。
そんなアーデルハイドも若さあふれる二十代。
幾ら自由奔放な父を陰に日向に支える大人びた青年だとしても、まだまだ青い春を謳歌する若者である。
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