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ブラックラインの攻防

2011/03/24 Thu
m25


「無理でもしないと……閣下を盗られてしまうじゃないですか…ッ」
「オズ、なにを…」
「閣下は…閣下はッ! 私のなんですから…ッ」

嗚咽で阻まれながら、それでも言い切った言葉は幼い子どもの駄々のような睦言。
どくり、と、不自然にジェネラルの鼓動が高鳴った。
こんな状況だというのに、オズワルドはこんなにも泣いているというのに、その言葉と想いにジェネラルは言い知れぬほどの愛しさを感じてしまう。
離れなければオズワルドが辛いのだという理性すら残らず、こんなにも泣くほど自分を好いてくれている人が愛しかった。
心中を荒れ狂う感情に支配されたジェネラルは涙を流すオズワルドへと口付けた。
涙の味がするキスは何故か酷く甘く感じられて、ジェネラルは酔いしれるようにキスを重ねた。
キスを間に挟み、呼吸を落ち着けたオズワルドがゆっくりと腰を動かし始めると、意識はそのまま業火へと呑まれていった。











ヨハンは足取り軽く帰宅すると、そのまま真っ直ぐにリビングへと向かった。
日が暮れ、宵闇が広がりつつある空を窓越しに見上げつつ、ソファへと身を沈めると、じんわりと疲れが抜けていく。
ソファに座ったまま濃紫色のコートを放り、足を投げ出して寝そべった。

「―――…随分とお早いお帰りで」

凝り固まった腕を伸ばしていたヨハンは、その声に小さく微笑する。
行儀悪くも寝そべったまま視線を巡らせば、不機嫌そうな青の牧師が立っていた。
慇懃な物言いではあるが、いつもの帰宅時間よりも随分と遅かったヨハンを責める棘はびっしりと含まれていた。
ヨハンは喉奥でコロコロと笑気を転がすと、赤い髪を揺らして見せた。

「何だ、来てたのか」
「ええ。何処かの誰かが、夕食を作ってくれと駄々を捏ねたので、ね」
「それはいけないな。私が注意してやろう」

密やかな笑気を漏らし続けるヨハンに気が殺がれたのか、ゲーニッツは溜息を漏らした。
ピリピリとした空気も払拭すると、キッチンへと戻って作業を再開し始めた。
水で手を洗う音を聞きながら、ヨハンは意地の悪い笑みを浮かべる。

「さて問題だ、ゲーニッツ」
「はいはい、何ですか」
「私は何処へ行っていたと思う?」
「知ったことではありませんね。どうせブラついてただけでしょう」

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[Serene Bach 2.23R]