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理由なんていくらでも

2010/12/10 Fri
m25


グスタフは誘われるように身体を倒すと唇を重ね、跳ねる痩躯を押さえつける。
欲求のままに薄い唇を歯列で甘く噛み、喉奥から零れてくる嬌声を残さず喰らい尽くす。
落ち着く暇すら惜しむように律動を始めれば、オズワルドの爪が煌き、スーツ越しの背を幾度も引っ掻いた。
互いの酸素を奪い合うようなキスを繰り返し、互いの愉悦を引き出すように腰を揺らす。
自己が堕ちるよりも早く相手を堕とそうとする性質の悪さはお互い様だ。
誰よりも近くで互いの体温を感じながら、視線で以って牽制しあうのは滑稽だと、冷静な部分が揶揄を飛ばす。

「グ…スタ…ッ…」

けれど、そんな冷静な部分ですら、トロリと溶けた眼差しに溶かされ、グスタフの中に残ることはなかった。










弟子の欲を解消して、オズワルドがソファへと沈み込んだのは、帰宅してから随分経ってからである。
仕事を終えたばかりの疲れた肉体で相手をしたのは軽率だったかとオズワルドが後悔していると何が楽しいのか、オズワルドの手首に噛み付いていたグスタフが口を開いてきた。

「風呂は沸いている。浸かってこい」
「……どうしてその一言が帰宅直後の私に言えないんですか…」

帰宅直後に、グスタフの口からそんな殊勝な言葉が出れば、裏があると思いつつもオズワルドは絆されただろう。
無論、それでも行為を快諾することはなかろうが、オズワルドとしての心象はまるで違う。
睨みを利かせて気の利かない弟子を詰れば、返ってきたのは子憎たらしい笑気のみ。

「“元”師匠曰く、馬鹿な弟子らしいからな」

オズワルドは当然の報復として、グスタフの額に手をかけると、そのまま力に任せてフローリングへと叩き付けたのだった。

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[Serene Bach 2.23R]