Macademia Nut
2010/11/29 Mon
m25
基本的にバルバトスは静かな奴だ。意外だと言われるかもしれないが、スイッチが入ると止まらなくなるだけだとジャギは思っている。
気が遠くなるほど亡霊をやっていただけに中身はそれなりに落ち着いているのだ、―――戦闘に関すること以外は。
ゲホゲホと二度咳を漏らすと、無理やりにでも寝てしまおうと思考を打ち切り、布団を被りなおす。
手応えがあったかどうかはしらないが、適度に運動して、旨いものを食えばバルバトスも悪い気分じゃないだろう、と目を伏せた。
「…………」
「…………おい」
「…………」
「…………おい、起きろ」
「…………」
「…………聞いているのか! ジャギッ!!」
「だから大声出すなっつってんだろぉお!!」
目を伏せた途端にバルバトスに起こされて、大声で反論する。
が、当然声が喉に絡まり、先ほどよりも酷い咳が五連続で出た。
「……………そういや、手前ェ魔法使えだんだったな」
「そんな大したものじゃないがな」
咳のし過ぎで目元を赤くしながら、睨みつけるような視線を布団の中から送る。
どこぞのスキマ妖怪よろしく時空を切り裂いて登場したバルバトスはまるで悪びれることなくケロリとしていた。
「貴様が鍵なんぞ掛けるからだろう、扉を壊さなかっただけでも有難く思いな」
「……ああ、有情すぎて涙が出てくるぜ。で、なんのようだ? デザートならねぇぞ」
「フン……、デザートなら此処にあるだろうが」
その言葉にジャギは頭痛を覚えて、バサッと枕に顔を突っ伏した。
やはり、この男は人の言うことを聞かないらしい。
そっとジャギの頬に添えてくる指を振り払おうにも普段から明らかに力負けしている上、今は更に分が悪い。
「今日は絶対しねェ………グッ!?」
先手必勝とばかりに噛み付くように声を荒げた瞬間、口に中に何か突っ込まれて声が止まる。
舌にのった冷たい甘味がじんわりと溶けて広がり、バルバトスと真っ向から向き合いつつもごもごと口を動かした。
「なんだ? 何か期待していたのか、ジャギィ?」
クツクツと喉を鳴らして、凶悪に瞳を細める顔は見慣れているジャギでさえ怯むほどに男前だった。
威圧されるように喉を鳴らしてバニラアイスを嚥下すると唇を一文字に結ぶ。
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