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Cry Me to the Moon

2010/11/24 Wed
m25


グスタフらしく生活感なんてまるでない部屋に、無機質な月光が差し込む。
ユウキは片膝を腕に抱き寄せて、視線をワイングラスの中に落とした。
一時熱を共有したとしても、優しそうに楽しそうに笑ってくれたとしても。
それらにそれ以上の価値などなく、いつ如何なる時もグスタフを動かすのは別のものなのだ。
百も承知なはずなのに、こうして見せ付けられるとやはり心が痛む。
グスタフがずるい大人だなんて、そんなことも重々理解している。
それでも涙を堪えて朝を待とうとするのは、既に意地ではなく本能の領分なのかもしれない。
ユウキは泣き出しそうな乾いた息を細く吐き、グラスの中で揺れるおぼろげな月を笑った。
地上に散らばる人工の星の賑やかさとは打って変わって、琥珀色の海には月が一つだけ。

この、ぽっかりとした月をグスタフも見ているのだろうか、丸く滲んだ、冷たいほどに白い月を。
ユウキはグラスに落ちた月に向かって、囁くように月より遠い人の名を呼んだ。
月の向こう側にある夜明けを一秒でも早くと、乞うように。

ワイングラスに小さな波紋が広がり、ユウキの代わりに月が泣いてくれた。

朝はまだ、ずっと遠くにある。

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酔っ払いの作法 >>
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[Serene Bach 2.23R]