Lesson 00
2010/11/18 Thu
m25
クローンゼロは凍りつくような視線で以って、未だ椅子に腰かけるオリジナルゼロを尊大に見下ろした。
『酷い言い草だ』
どれ程凍てつく視線だとて、喉の奥で笑みを転がせるオリジナルゼロには決して利かないことを経験として知っていた。
そんなことを理解するほど長い間、こんなやり取りをしているのだと思えば、これ以上下がる余地もないと思われた機嫌が地の底へと沈む。
クローンゼロは谷のように深くなった眉間の皺を親指で押え、鬱陶しそうに片手を払った。
『溜まってるなら女を買え』
『世間体があるだろう』
『知ったことか』
オリジナルゼロの正論を拒絶の一刀で切り捨てると、笑気が耳を打った。
クローンゼロはそれに取り合わず、そのまま執務室の扉へと身を翻した。
その動作に合わせて、黒いコートの裾が風を孕んで弧を描く。
目的のものは既に手の内にあるのだから、さっさと仕事を終わらせて今日こそ帰宅する。
クローンゼロはオリジナルゼロの存在を綺麗に除外すると、閉じられたドアノブへと手を掛けた。
その手がノブを回し、僅かな金属音を奏でると、狙ったかのように笑みを含んだ声音が静かな執務室に落ちた。
『―――ああ、『恥ずかしい』というなら、諦めるが?』
忌々しい声が脳に響き、クローンゼロはその場で手に持った書類を叩き落とした。
そして、今に至る。
オリジナルゼロのコートの前を割り、下肢の前に膝を付きながら、クローンゼロは眉間に皺を寄せた。
腹の底から気に入らない相手の股間に顔を埋め、竿に唾液を擦りつけているのだと思えば思わず歯を立てたくなる。
けれど、そんな不穏さを察知するたびに、オリジナルゼロの手が咎めるように耳の裏を引っ掻くのだ。
その手際の良ささえ忌々しく、クローンゼロは舌に乗る先走りを再び竿へと擦りつけた。
煌々と明るい執務室に卑猥な水音が響く。
「―――ふふ…」
ほの暗い笑気がオリジナルゼロの唇から零れる。
顔を見ずとも、どれほど残虐で酷薄な笑みか想像がついた。
穏やかな笑みと道理を得た言動で惑わされる者も多いが、この男とて裏側の生き物だ。
他者を屈服させることに高揚を覚えるのは、クローンゼロばかりではない。
「舐めるだけでは終わらないぞ」
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